2022 Fiscal Year Annual Research Report
シングルセル解析による球脊髄性筋萎縮症の早期病態解明と治療法開発
Project/Area Number |
21K20686
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯田 円 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40815437)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 球脊髄性筋萎縮症 / シングルセル解析 / オリゴデンドロサイト / 超早期病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はアンドロゲン受容体(AR)のCAGリピート伸長により、成人男性のみに発症する進行性の遺伝性神経筋疾患である。本研究課題では、シングルセル解析を用いてSBMAマウスモデル(AR- 97Q)の脊髄における1細胞ごとの遺伝子発現情報を発症前から経時的(3、6、9、13週齢)に取得し、SBMAの早期病態解明と治療開発を目指した。 10×Genomics社のキットを用いてシングルセルRNA-seqを行った。合計約70,000個の核のデータを取得し、Quality Controlの後、クラスタリング、発現変動遺伝子抽出、細胞種の同定を行った。野生型マウスとSBMAマウスモデルでシングルセルRNA-seqの結果を比較すると、3週齢から特にオリゴデンドロサイトでの変化が大きいことが明らかとなった。各週齢での各細胞種のサブクラスタリングを行い、GO解析とKEGGパスウェイ解析を行った。オリゴデンドロサイト、アストロサイト、ミクログリアでは、SBMAマウスモデルに特徴的なサブクラスターにおいて3週齢からシナプスやチャネル活性に関連する遺伝子の上昇をみとめた。それらの遺伝子は6週齢と9週齢においてもSBMAマウスモデルで上昇し、進行期の13週齢で低下していた。一方ニューロンではSBMAマウスモデルと野生型マウスの差は小さかった。 シングルセル解析での結果を検証すべく、Oli-neu Mouse Oligodendroglial Precursor Cell LineにレンチウイルスでAR-19QもしくはAR-97Qを導入しSBMAオリゴデンドロサイトモデルを作成し、RNA-seqを行った。AR-97Q細胞モデルではAR-19Q細胞モデルと比較してシナプスに関連する遺伝子が上昇しており、シングルセル解析でSBMA初期のオリゴデンドロサイトで見られた変化と合致していた。
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