2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the control system of axon initial segment starting from the nucleus
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21K20692
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
長谷川 孝一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (20546783)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 軸索起始部 / 核膜複合体 / 核 / 軸索 / 可塑性 / i-GONAD |
Outline of Annual Research Achievements |
LINC複合体構成因子Nesprin-1の機能阻害型変異体(Nesprin-1 DN)を初代培養大脳ニューロンに発現させた場合、軸索起始部(Axon Initial Segment, AIS)の長さの短縮と可塑性が消失することを申請時までに見出していたが、小脳や海馬のニューロンにおいても同様の結果が得られた。また、子宮内電気穿孔法をもちいた生体内遺伝子導入実験系により、大脳皮質ニューロンや小脳プルキンエ細胞でLINC複合体の核膜局在を阻害する実験系を確立した結果、やはりAISの長さの短縮がみられた。これらの解析結果によりその普遍性が示され、AISの構造および可塑性制御におけるLINC複合体の重要性が明らかとなった。そこで、現在はAIS構成分子のプロファイルを解析するために、AISの細胞骨格制御因子(CAMSAP2, Trim46など)やイオンチャネル(Nav1, Kv1など)の発現量や分布について、Nesprin-1 DN発現ニューロンを用いて解析している。さらに、LINC複合体構成因子Sun1/Sun2について、その二重欠失はNesprin-1 DNと同様の効果が報告されているため、簡便かつ迅速に遺伝子改変マウスの作製が可能なi-GONAD法をもちいてSun1/Sun2二重欠失マウスの作製を進めている。現時点では、Sun1, Sun2それぞれ単独の欠失マウス(ヘテロ)の作製に成功しており、それらのホモマウスの交配により二重欠失マウスを誕生させて解析を展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
i-GONAD法によるSun1, Sun2の単一欠失ヘテロマウスの作製に成功したものの、ホモマウスの獲得に至っていない。ヘテロマウスの交配で得られるはずのホモマウスが誕生しないことから、オフターゲット等の原因を探ったが影響がないことまでは突き止めた。現在はより確実に任意の箇所に変異を挿入するノックインの手法に切り替え、i-GONAD法のやり直しをおこない、Sun1, Sun2単一欠失ホモマウスの獲得を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
LINC複合体によるAISの形成・可塑性制御の分子メカニズムについて明らかにする。具体的には、核膜ー軸索間細胞骨格ネットワークについて、レール構造となるF-アクチンや微小管に着目し解析を進める。さらに、核膜ー軸索間分子シャトリング機構について、AISの足場タンパク質との相互作用が報告されているKinesinに焦点を当て、LINC複合体とAISー細胞質間分子輸送の関係性についても検証する。
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Causes of Carryover |
今年度の実験の多くについて、既に所属する研究室にある試薬類で行うことが可能であった。また、i-GONADにかかるマウスの購入や維持費についても、予定より早期に目的のヘテロマウスが獲得でき、今年度の使用額がおさえられた。一方、現在までの進捗状況でも挙げた通り、i-GONADについてやり直しを次年度以降予定しており、それらに係る研究費を次年度に繰り越す必要がある。また、AIS構成因子の分子プロファイルの解析に必要な抗体類の購入を含め次年度は、消耗品の購入・追加購入としての使用を見込んでいる。
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