2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K20694
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
井林 賢志 自治医科大学, 医学部, 講師 (90911892)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ヒト嗅覚 / 頭蓋内脳波計測 / 嗅覚関連領野 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト嗅覚認知に関わる大脳領域の詳細な連関は未解明であるため、本研究では、時間分解能の高い頭蓋内脳波信号(iEEG)を用いて、ヒト嗅覚認知及び関連する高次脳機能を担う脳領域と関連領域間の相関を明らかにすることを目的とした。iEEGはてんかん焦点精査の際に留置される硬膜下電極や深部電極を用いて計測できる信号ノイズ比の高い希少な信号であり、本研究成果は将来の嗅機能再建や嗅覚症状を合併する疾患の病態理解に寄与しうる。本研究によって、まず持続的にiEEG計測を施行している環境下かつMRI環境下において使用が可能な匂い刺激呈示装置の作成に成功した。このカスタムメイドの刺激呈示装置を用いることで健常者の嗅覚野が匂い刺激呈示中に賦活されることを、BOLD信号解析によって確認することができた。さらに、複数種類の匂い刺激の呈示をデスクトップパソコンとソフトウェアにて制御ができるシステムを実装することに成功した。以上に続く形で、本研究期間を通して施行された難治性てんかんに対する頭蓋内電極による精査が行われた患者のうち3例において、本装置を用いた匂い刺激の呈示と同時iEEG計測を行うことに成功した。これによって得られたデータをオフラインで一部解析し、嗅覚関連領野が匂い刺激によって賦活する様子を確認することができた。本結果の一部を査読付き国際研究会にて発表することができ、今後の研究発展のための意見交換や課題や解析の改善につなげることができた。
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