2021 Fiscal Year Research-status Report
Neuronal circuit for sedative/hypnotic actions of alpha-2 adrenergic agonist
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21K20699
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
山形 朋子 東邦大学, 医学部, 有期助教 (90584433)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 睡眠 / 鎮静 / アドレナリンα2受容体 / デクスメデトミジン / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアドレナリンα2受容体作動性鎮静薬であるデクスメデトミジンの作用機序を、薬理遺伝学・光遺伝学的に、神経回路レベルから解明することを目指している。 研究代表者は留学先のオックスフォード大学において、マウスがデクスメデトミジンによる鎮静状態および睡眠時に視床下部視索前野のGAD2神経細胞群を光遺伝学的に活性化することより、覚醒が促進されることを突き止めたが、2021年度はこの成果をまとめて米国アカデミー紀要に発表した(Yamagata et al., 2021)。本研究はこの研究の拡張であるため、このステップは必要不可欠であった。 次に、本研究を帰国先の東邦大学で立ち上げるため、マウスの神経生理学実験のためのセットアップを行った。具体的には、実験動物の準備として神経活動依存的に遺伝子発現を誘導することを可能とするTRAP2マウス系統の入手および繁殖、TRAP2と赤色蛍光レポーター系統Ai9との交配種の作成と繁殖を行った。自由行動下において睡眠・覚醒・鎮静時の脳波を記録するための慢性記録システム、脳内ウイルス局所注入・脳波デバイス埋込の手術を行うためのセットアップ、ウイルスやアドレナリンα2受容体作動性鎮静薬、拮抗薬、TRAPおよびDREADDを誘導するための薬剤の調達をした。さらに、各種薬剤のマウスにおける薬理効果を検証した。 最後に、α2受容体を介した鎮静回路の絞り込みに関する進捗として、予備的データではあるが、ウイルスベクターによるレポーター蛍光により、アドレナリンα2受容体作動薬および拮抗薬に応答する神経細胞群の局在を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一目標として、帰国後1年目である2021年度は、睡眠神経生理・解剖学実験のセットアップを行うことを目標としたが、それらが完了した。具体的には、本研究に用いるTRAP2マウスの入手と繁殖、さらに、TRAP2系統と、Cre依存的に赤色蛍光tdTomatoを発現するレポーター系統Ai9とを交配したTRAP-Ai系統の樹立と繁殖を完了した。また、自由行動下において睡眠・覚醒・鎮静時の脳波を記録するための明暗調節機能付き防音室、脳波計測のための電気生理学実験器具を調達した。さらに、ウイルス注入・脳波デバイス埋込手術のためセットアップ、およびウイルスベクターを調達し、鎮静薬と拮抗薬、TRAPアクティベータ、DREADDアクティベータ、改良型in situ HCR用試薬など、必要な試薬を揃えた。
第二目標である、α2受容体を介した鎮静回路の絞り込みに関しては、まずは脳全域で広範にウイルス発現が見込めるAAV-PHP.eB-tdTomatoレポーターウイルスを眼窩静脈叢への注入し、鎮静時および薬理的覚醒時に応答する細胞を脳内で可視化することを試みた。レポーター蛍光の発現を確認したところ、脳全域での発現を確認し、実験系が動くこと、鎮静回路に関する手がかりを得ることができた。しかしながら、皮質での蛍光発現は強い一方で、視床下部での蛍光タンパク発現が想定より微弱であった。これはAAVウイルスセロタイプ(PHP.eB)の発現傾向を反映している可能性があるため、並行して、TRAP2とレポーターマウス系統Ai9との交配種TRAP2-Ai9で同様のTRAP実験を行った。現在、発現を確認中である。視索前野のウイルス局所注入に関しては、DREADDウイルスが局所的に発現することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗はほほ予定通りであるため、基本的には申請時の計画通り進める。 【2年度目】α2受容体を介した鎮静回路の機能的役割を検証する 1年度目のスクリーニングにより、特に鎮静・睡眠に寄与する可能性が高いと考えられる神経回路に対し、その機能的役割を検証する。具体的には、薬理学的・光遺伝学的に神経活動修飾実験を行う。そのために光遺伝学用のアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-ChR2等)を購入し、光遺伝学用品一式(Fiber-Coupled LED 、LEDドライバ、オプティックファイバ、Patch Cable、Ferrule、スリーブ、光ファイバーパワーメータ)を揃える。1年度目の要領で鎮静・薬理的覚醒・睡眠時に活性化されるニューロン群特異的に神経活動の再興奮・抑制を行う。 2年度目は以上の成果について学会発表を行うとともに、実験成果がまとまった場合は論文作成に着手する。もしも大きな成果が期待できる場合は、次の研究と合わせて論文を発表するため、研究打ち合わせを行い、次の実験計画を立てる。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] The hypothalamic link between arousal and sleep homeostasis in mice2021
Author(s)
Tomoko Yamagata, Martin C. Kahn, Jose Prius-Mengual, Elise Meijer, Merima Sabanovic, Mathilde C. C. Guillaumin, Vincent van der Vinne, Yi-Ge Huang, Laura E. McKillop, Aarti Jagannath, Stuart N Peirson, Edward O. Mann, Russell G. Foster, and Vladyslav V. Vyazovskiy
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 118
Pages: e2101580118
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] A role for the cortex in sleep-wake regulation2021
Author(s)
Lukas B. Krone, Tomoko Yamagata, Cristina Blanco-Duque, Mathilde C. C. Guillaumin, Martin C. Kahn, Vincent van der Vinne, Laura E. McKillop, Shu K. E. Tam, Stuart N. Peirson, Colin J. Akerman, Anna Hoerder-Suabedissen, Zoltan Molner, Vladyslav V. Vyazovskiy
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Journal Title
Nature Neuroscience
Volume: 24
Pages: 1210-1215
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Somnotate: An accurate, robust, and flexible sleep stage classifier for the experimentalist2021
Author(s)
Paul J. N. Brodersen, Hannah Alfonsa, Lukas B. Krone, Cristina Blanco Duque, Angus S. Fisk, Sarah J. Flaherty, Mathilde C. C. Guillaumin, Yi-Ge Huang, Martin C. Kahn, Laura E. McKillop, Linus Milinski, Lewis Taylor, Christopher W. Thomas, Tomoko Yamagata, Russell G. Foster, Vladyslav V. Vyazovskiy, Colin J. Akerman
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Journal Title
bioRxiv
Volume: -
Pages: -
DOI
Open Access / Int'l Joint Research
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