2022 Fiscal Year Research-status Report
ミクログリアの機能調節におけるTREM2発現制御因子の役割
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21K20700
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
柳津 茂慧 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (20913362)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | TREM2 / ミクログリア / アルツハイマー病 / 発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
TREM2は脳内ではミクログリアに発現する受容体タンパク質で、アルツハイマー病の発症や進行に関与するリスク遺伝子としても知られている。過去の研究では、TREM2タンパク質の発現レベルがミクログリアの機能レベルを左右することやTREM2遺伝子の発現上昇が引き金となって誘導される疾患特異的なミクログリアの存在が示されている。TREM2の発現を調節する因子は、ミクログリアの機能レベルを調節することや疾患特異的なミクログリアの誘導過程において何らかの役割を持つ可能性が考えられる。本研究課題では、ミクログリアの機能に対するTREM2の発現制御因子の役割に関する知見を得ることを目的とした。申請者はTREM2遺伝子の上流配列にTREM2の発現を制御する領域が存在することを示唆するデータを得た。この領域には、TREM2の翻訳を調節する役割があることに加え、TREM2タンパク質の新規アイソフォームの発現につながることを見出した。さらに、この領域が有するTREM2タンパク質の発現への役割は種特異的であることを明らかにした。上流配列によるTREM2タンパク質の新規アイソフォームの発現は、内在性TREM2においても検出された。上流配列によってTREM2タンパク質の発現が調節される場合、ミクログリアの機能も同時に制御されることが考えられる。上記に加え、この上流配列は本研究課題で見出した役割とは異なる段階でTREM2遺伝子の発現を制御していることを見出した。TREM2は一部のがん微小環境におけるマクロファージや肥満組織におけるマクロファージの性質変化を制御していることが知られている。従って、本研究課題で得られた結果は、各疾患の分子病態の一端を説明する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
職位の変更に伴う業務の増加のため。前年度までの成果は学術雑誌に投稿しているので、受理を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で見出した知見は、げっ歯類では保存されていなかった。従ってマウスを用いた研究への発展は難しいと考えており、個体レベルでの影響を検討することができない可能性がある。しかし、今回得られた知見はTREM2の発現上昇を人工的に誘導できる可能性を含んでいる。今後はTREM2の発現を人工的に増加させる方策を検討中である。
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Causes of Carryover |
職位の変更による業務内容の増加により、研究計画に遅れが生じたため。
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