2021 Fiscal Year Research-status Report
Nwd1遺伝子によるプリノソーム形成を介した新たな神経分化機構の解明
Project/Area Number |
21K20701
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 晴也 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (70907146)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | Nwd1 / プリノソーム / 神経幹細胞 / プリン新生 / 脳発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常な脳発達においてプリン代謝産物の産生量の制御は不可欠である。近年、プリン新生のための連続的な酵素反応は、巨大タンパク質複合体「プリノソーム」で行われることが示された。プリノソームの形成は、細胞の増殖や分化に普遍的な役割を持つと推定されるが、プリノソーム形成の分子メカニズムは不明である。申請者が新規同定したNwd1遺伝子は、神経幹細胞で豊富に発現し、プリノソーム形成に関与することで増殖・分化を制御する。本研究ではプリノソーム形成におけるNwd1の役割を解明する。特に、Nwd1のリガンドとなるタンパク質を同定し、リガンド依存的にNwd1がプリノソーム形成を誘導する可能性を検証する。加えて、神経分化におけるプリノソームの役割を明らかにするため、 Nwd1-KOマウスを樹立し、組織形態学的な解析を実施する。 今年度、Nwd1のリガンドの候補となりうるタンパク質群を、共免疫沈降法とLC/MS解析により網羅的に探索・同定した。また、これら候補タンパク質群の中で、特に有望な候補因子をマウス胎児神経幹細胞からクローニングし、大腸菌発現由来の精製タンパク質の作製に成功した。今後、候補となるリガンド依存的にNwd1がプリノソーム形成を誘導するかどうかをBN-PAGEにて確認する。また、ゲノム編集により作成したNwd1-floxマウスとCAG-Creマウスとの交配により、全身性でNwd1を欠失するNwd1-KOマウスの樹立に成功した。今後、Nwd1-KOマウスの詳細な組織形態学的な解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、研究施設の利用や研究資材の入手が一部制限されたため、当初のin vitro解析のスケジュールに遅れが生じた。一方、Nwd1-KOマウスの樹立は当初の予定通り進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに同定されたNwd1と相互作用するタンパク質群について、今後、候補となるリガンド依存的にNwd1がプリノソーム形成を誘導するかどうかをBN-PAGEにて確認する。また、樹立に成功した全身性でNwd1を欠失するNwd1-KOマウスの詳細な組織形態学的な解析を行う。特に、Nwd1-KOマウスの成体脳や胎児脳、またプリン代謝が強く関連する臓器での表現系を主に解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大による物流の影響で、当初予定していたin vitroの実験系に必要な試薬類の購入が一部行えなかったため、2022年度繰越予算で計上する。また、年度末にNwd1-KOマウスの樹立に成功したため、Nwd1-KOマウスの組織形態学的な解析に必要な試薬類は2022年度に繰越予算で計上する。
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Research Products
(5 results)