2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K20712
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
渡邉 正悟 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (50911335)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | テルペノイド / 2-ピロン |
Outline of Annual Research Achievements |
テルペノイドは、天然物の中でも特に巨大な化合物群である。中でもトリテルペン類はC30骨格を基本とした母核構造の多様性と種々の構造修飾を受けることでさらに多くの化合物へと派生する。これらの化合物には、特徴的な化学構造に由来する特異的な生物活性を示すものも少なくない。本研究課題では、高度に構造修飾を受けたトリテルペン類に着目して合成研究を進めてきた。特に、有機溶媒または水溶媒中での分子内Diels-Alder(IMDA)反応による立体選択性の制御に興味を持ち、骨格構築手法の開発を目指した。先行研究で、ジエノフィルとして2-ピロンを用いることで選択性が大幅に変わったことからヒントを得て、今回、IMDA反応とClaisen転位を組み込んだ合成ルートでの骨格構築を立案した。しかしがら、鍵反応前駆体の立体選択的な合成と、必要な官能基を持たせた2-ピロンセグメントの合成が難航し、研究期間内での目的達成には至らなかった。今後、入手可能な2-ピロンをジエノフィルとしたIMDA反応-Claisen転位カスケードによる骨格構築を検討する。 一方、研究期間中に、理研化合物ライブラリーに収録されている化合物のうち、2-ピロン構造を分子内に含む化合物が強力な抗ウイルス活性を示すことがわかった。我々は、この化合物の薬物動態改善を目的として、大量合成法の確立と種々の誘導体合成を行った。その結果、再沈殿や結晶化による精製方法を検討することで活性化合物の前駆体を大量に調製できるようになった。また、アシル化を基盤とした誘導体合成と、得られた誘導体の活性評価を行ったところ、酵素レベルでは活性が見られずに、細胞系中で活性体が遊離するプロドラッグ化が可能であることを示せた。
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