2021 Fiscal Year Research-status Report
小児患者の抗菌薬初期投与設計のアルゴリズムおよびノモグラムの作成
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21K20714
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
加藤 秀雄 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (00905432)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 抗菌薬投与設計 / 小児患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの抗菌薬は成人向けに開発されており、その後、小児への投薬計画が外挿されている。小児の抗菌薬試験は、倫理的、実践的、および経済的な考慮事項のためにほとんど実施されていない。そこで、我々は、小児患者を対象とした各抗菌薬のPharmacokinetics/Pharmacodynamics(PK/PD)パラメータの検証および至適投与法を検討した。 まず、我々は、methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)を含むグラム陽性球菌に感染した小児患者の臨床的有効性および安全性とバンコマイシン(VCM)の最適トラフ値を検討したところ、VCMのトラフ値10-15 mg/Lが10 mg/L未満または15 mg/L以上のトラフ値と比して、有意な死亡率の改善および腎機能障害発現の低下が認められ、小児患者におけるVCMの最適なトラフ値を明らかにした。次に、薬物動態に影響を与える可能性がある体外循環装置(膜型人工肺と持続血液濾過透析, CHDF)を併用した乳児でのVCMの投与設計を行った症例について報告した。症例報告ではあるが、体外循環装置による分布容積の増大、CHDFによるVCMの除去が血中VCM濃度の変動要因となったことが明らかとなった。今後も体外循環装置施行下における乳児のVCM動態の変動について症例を蓄積し、検討していく予定である。 最後に、日本の小児患者におけるアミカシン(AMK)濃度と有効性/安全性の関係を報告した。その結果、10 mg/Lを超える最小血中濃度(Cmin)がAMKによって引き起こされる毒性のリスクを増加させることを示したが、AMKの有効性を示す最大血中濃度/最小発育濃度(Cmax/MIC)に関して、十分に調査されていないことを明らかにした。今後、臨床データを収集して検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響により、病原体等専門委員会および動物実験倫理審査委員会の開催が遅延し、当初予定していた動物実験が行うことができなかった。しかし、システマティックレビューやメタ解析を実施することで、現状の把握および最適なPK/PDパラメータを報告することができた。引き続き、対象となる症例を集積・評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
VCMおよびAMKの該当症例を集積して、PK/PDパラメータおよび至適投与法を検証する予定である。また、他の抗菌薬(テイコプラニン、ゲンタマイシン)についても、システマティックレビューやメタ解析を実施し、PK/PDパラメータを検証していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、病原体等専門委員会および動物実験倫理審査委員会の開催が遅延し、当初予定していた動物実験を行うことができなかったため、2022年度使用額が生じた。また、本研究テーマに関連する論文を投稿する予定であり、その投稿料に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)