2021 Fiscal Year Research-status Report
医療ビッグデータおよびオミクスデータを活用した薬剤性心筋炎に対する治療法の開発
Project/Area Number |
21K20720
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新村 貴博 徳島大学, 病院, 薬剤師 (50910014)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 医療ビッグデータ / 副作用 / 心筋炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん免疫療法のキードラッグであるICIにより誘発される心筋炎の致死率は42%と、各種抗がん剤による心血管毒性の中で最も高い。本研究では、医療ビッグデータ解析により、既存薬の中から免疫チェックポイント阻害剤関連心筋炎に対する治療薬候補を探索することを目的とする。 初年度は、次世代シークエンサーの遺伝子発現データを解析し、免疫チェックポイント阻害剤関連心筋炎患者の心筋組織における遺伝子変動を確認した。くわえて、文献解析AIを用いて過去の関連情報を解析することで、心筋炎関連遺伝子を同定した。この中には、炎症や線維化等の病態に関わる遺伝子が多数含まれていた。 また、免疫チェックポイント阻害剤関連心筋炎の病態をマウスで再現するべく、PD-1ノックアウトマウスを用いた心筋炎モデルの構築を行った。作製した心筋炎モデルマウスでは、心筋組織における炎症反応と炎症性サイトカインの増加が確認された。 今後は、心筋炎関連遺伝子をもとに候補薬剤を探索し、モデル動物を用いた有効性評価等を実施する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、次世代シークエンサーにより解析した免疫チェックポイント誘発心筋炎の遺伝子発現データを用いて心筋炎関連遺伝子の抽出を行った。くわえて、文献解析AIを用いて、心筋炎関連遺伝子の検討を実施し、炎症や線維化等の病態に関わる遺伝子を同定した。 現在、同定した心筋炎関連遺伝子をもとに、米国NIHが提供している創薬ツールを用いて新規治療薬候補を探索している。 また、治療薬探索後に実施予定である医療情報データベース解析と副作用報告データベース解析に関しても、それぞれ解析用のプラットフォームを昨年度中に構築することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定した心筋炎関連遺伝子をもとに、米国NIHが提供している創薬ツールを用いて新規治療薬候補を探索する予定である。また、抽出された治療薬候補に関しては、医療情報データベースおよび、米国FDAが提供している副作用報告データベースを解析することで、候補薬の有効性と安全性を評価する。 さらに、免疫チェックポイント阻害剤関連心筋炎のモデルマウスを用いて、候補薬の有効性を検証していく予定である。
|
Causes of Carryover |
心筋炎動物モデルの作製に用いている合成ペプチドの設計・発注に時間がかかり、年度末の発注となったため、次年度使用額が発生してしまった。次年度は、繰越額と次年度研究費を合わせて動物実験およびオミクスデータ解析を実施する予定である。
|