2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of pimozide hERG inhibition by complex drug interactions via P-glycoprotein.
Project/Area Number |
21K20729
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ピモジド / P-糖タンパク質 / 心筋細胞 / hERG / QT延長 / 薬物相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
実際の医療現場において、ピモジド、セルトラリンおよびアリピプラゾールの 3 剤を処方された男児の死亡例が報告されている。抗精神病薬のピモジドは、カリウムチャネルのひとつである human ether-a-go-go related gene (hERG) チャネルを強力に阻害することから、副作用のひとつとして心拍におけるQT時間を有意に延長させる。本研究では、心筋細胞においてP糖タンパク質(P-gp)がピモジドの細胞外排出に関与しており、この機能が他の薬物によって阻害されること、ピモジドが心筋細胞の内側からhERGチャネルを阻害することを検討し、hERGチャネルに対する薬物の阻害メカニズムとP-gpの関与について明らかにすることを目的とした。 2021年度は、ヒト心筋細胞 (AC16細胞) にP-gpが発現し、機能していることを確認した。さらに、ピモジドが心筋細胞においてもP-gpによって能動的に細胞外に排出されていることを確認した。また、ピモジド、セルトラリンおよびアリピプラゾールの3薬併用によるピモシドの細胞内蓄積量を評価した。その結果セルトラリンおよびアリピプラゾールがP-gpの阻害薬として機能し、ピモジドの心筋内蓄積量を増加させることを確認した。以上より、心筋のP-gpを介した薬物間相互作用によりピモジドの排出が抑制され、副作用であるQT延長が引き起こされる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、ヒト心筋細胞 (AC16細胞) においてP-gpのmRNA量がsiRNA条件下にて有意に減少することを確認した。また、P-gpの基質であるRhodamine123のAC16細胞内への取り込みを検討したところ、P-gp阻害薬であるエラクリダールの添加、あるいはsiRNA条件下において有意に増加した。これらのことから、AC16細胞においてP-gpが機能的に発現していることが確認された。またピモジドのAC16細胞内への取り込み量はsiRNA条件下にて増加した。これはピモジドが心筋細胞においてもP-gpの基質として細胞外に能動的に排出されることを示唆している。さらにP-gpを介した薬物相互作用により、ピモジドの心筋細胞への蓄積量が変化するか否かを検討するために、AC16細胞を用いた取り込み試験を行った。セルトラリン、アリピプラゾールおよび両薬物の併用によって、ピモジドの取り込み量が有意に増加した。これらのことより、セルトラリンおよびアリピプラゾールがP-gpを阻害することで、ピモジドの心筋内蓄積量が増加したと考えられた。以上の結果から、ピモジドはP-gpを介した薬物間相互作用によって心筋細胞内に蓄積する可能性が示唆された。 2021年度は、コロナ禍の影響で海外からの物品の搬入が延期された影響があったものの、当初の計画通りに試験が進行しており、特段の遅延が認められないことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、①トランスフェクション試薬を用いてhERGプラスミドをAC16細胞内に導入し、hERGのmRNAを測定することにより、安定なhERG発現細胞系を樹立する。また、②ピモジドを細胞内に注入し、その前後の膜電位変化をパッチクランプ法により測定し、hERGチャネルに対するピモジドの細胞内からの阻害について検討する。これらの検討を通して、 血中濃度の変動を伴うマクロな相互作用と血中濃度に影響しない組織レベルのミクロな相互作用を複合的に考察し、ピモジドの心筋における副作用発現メカニズムの全体像を明らかにする。なお、すでに①の検討については完了している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で海外からの輸入物品が期限内に届かなかったため、次年度使用額が生じた。
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