2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of radioprotective effect of purine nucleotide GTP and neurotrophic factor MANF
Project/Area Number |
21K20733
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北畠 和己 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (40910732)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 骨髄抑制 / グアノシン三リン酸(GTP) / 中脳アストロサイト由来神経栄養因子(MANF) / 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療は腫瘍細胞のDNA損傷を引き起こして腫瘍成長を抑制するがん治療法で、非侵襲性・局所治療のため患者のQOLが高い。一方で放射線は腫瘍以外にも増殖が盛んな骨髄細胞・上皮細胞に放射線障害を引き起こし、特に造血幹細胞の障害は免疫細胞の急激な減少(骨髄抑制)を引き起こし、感染症のリスクを高める。放射線治療では正常組織の障害を防ぐことが重要であり、放射線の正常組織への障害を軽減する放射線防護剤の開発が求められる。以前に当研究室ではATP・ADPが気道上皮細胞の放射線障害を軽減させることやまた中脳アストロサイト由来神経栄養因子(MANF)が放射線照射後の小胞体ストレス反応を介して細胞外に放出、障害から細胞を保護することも明らかにした。一方、グアノシン三リン酸(GTP)の放射線細胞応答への関与は不明である。またMANF添加による放射線防護効果についても不明である。 本研究では、ヌクレオチドGTPおよび神経栄養因子MANFに注目し、放射線治療時の正常組織に対する放射線防護剤の開発を目指し、GTPおよびMANFの放射線防護効果をin vitro、ex vivo、in vivo実験にて明らかにする。 本年度は放射線障害へのGTPやMANFの効果の検討を行った。GTPやMANFは骨髄細胞の放射線誘導の細胞死を抑制することを見出した。またこれらのメカニズムとしてDNA損傷応答の促進、細胞周期の異常の回復が示された。 またGTPやMANFの投与は放射線障害モデルマウスにおける骨髄細胞や血液細胞の減少を回復させたことから、放射線障害の軽減効果についても示唆された。 今後、GTPやMANFの放射線障害軽減効果の詳細な分子メカニズムや、放射線障害時の役割について明らかにしていく。またGTPやMANFの造血幹細胞の分化に与える影響についても興味深い結果が出ており、こちらについても今後検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既にMANFの放射線障害の軽減効果については3月に学会発表を行っており、現在論文投稿の準備を行っている。またGTPの放射線障害の軽減効果についても明らかになりつつあり、当初の予定通り順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
GTPとMANFによる放射線障害の軽減効果が明らかになりつつある。 2022年度はGTPやMANFがどのようにして放射線障害を軽減するかの詳細な分子メカニズムについて明らかにする。GTPやMANFの作用点や作用メカニズムを明らかにするため、プリン受容体遮断薬やシグナル阻害薬を用いてGTPやMANFの放射線障害軽減効果への影響を検討する。またGTPやMANFは生体内分子であるため、放射線障害時のGTPやMANFの発現の変化や役割についても検討する。 またGTP以外のヌクレオチドやMANF以外の神経栄養因子の放射線障害軽減効果についても不明であるため、それらの放射線障害の軽減効果についても明らかにする。
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Causes of Carryover |
2021年度に現在の職に着任し、科研費からの支出は2021年の9月以降となったため、次年度使用額が生じた。次年度の直接経費と合算して、細胞培養、実験動物、標識抗体などの消耗品の購入費(物品費)のほか、英文校正費、論文投稿費にあてる予定である。
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