2023 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛錯体を用いたインスリン抵抗性改善効果・糖尿病の発症予防効果へのチャレンジ
Project/Area Number |
21K20734
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
内藤 行喜 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (80610120)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 亜鉛錯体 / 終末糖化産物(AGEs) / 糖化反応 / ペントシジン |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病をはじめとする生活習慣病において、炎症シグナルの原因となる終末糖化産物(AGEs)に注目が集まっている。糖尿病発症原因の1つであるインスリン抵抗性は、脂肪組織における慢性炎症が引き起こすと考えられている。本研究では、抗炎症作用を持つことが知られているヒノキチオールを配位子に有し、インスリン様作用、血糖降下作用が報告されている亜鉛ヒノキチオール錯体([Zn(hkt)2])が、AGEsの生成を抑制し、過剰なAGEs蓄積を防ぐことでインスリン抵抗性および糖尿病発症予防に繋がるのではないかと考え、[Zn(hkt)2]をはじめとする種々の亜鉛錯体を用いてAGEsの生成抑制効果を評価した。 AGEs生成抑制効果は、1)蛍光性AGEsの生成抑制評価、2)HPLC-蛍光検出法によるペントシジン定量分析、3)実験動物におけるAGEsの生成量の定量評価を行った。 検討に用いた亜鉛錯体は1)より濃度依存的な蛍光性AGEsの生成抑制効果を示し、2)より糖化反応中に生成されるAGEsの一種であるペントシジンの生成を抑制した。3)では、2型糖尿病KK-Ayマウスへの[Zn(hkt)2]腹腔内投与により、糖尿病由来の腎肥大を抑制する傾向にあったが、血漿中ペントシジン定量分析においては、更なる分析条件の最適化が必要であった。別の糖化ストレスモデルのストレプトゾトシン誘発性糖尿病モデルを用いた検討では、尿サンプル中のペントシジン定量分析を実施したところ、ペントシジン由来のピークを検出することが出来たが、より詳細な評価のためには夾雑物分離および分析条件の最適化が必要であるという結論に至った。 以上の事から、in vitro系において亜鉛錯体は糖化反応により生じるペントシジンを含む蛍光性AGEs対して阻害作用を示し、特に7員環トロポノイド骨格を有する亜鉛錯体が強い生成抑制効果を示すことを明らかにした。
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Remarks |
日本薬学会 第144年会において学生優秀発表賞 受賞
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