2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K20738
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川上 純 東北大学, 大学病院, 助教 (60910164)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 関節窩軟骨欠損 / 肩関節脱臼 / 接触圧 / 接触面積 |
Outline of Annual Research Achievements |
肩関節は、大きな可動域を有する反面、最も脱臼しやすい関節であり、人体の全関節の全脱臼の50%は肩関節脱臼が占めている。それは、上腕骨頭の大きさに比べて、受け皿である関節窩が小さく、上腕骨頭のおよそ25%しか被覆していないこと要因である。これは、良く上腕骨頭がゴルフボールに関節窩をゴルフのピンに例えられる。この不安定な肩関節は複雑な安定化機構を持っている。この安定化機構は、可動域の最終域と中間域で異なる。最終可動域では、骨頭と関節窩を結ぶ関節上腕靱帯が緊張し肩関節を安定させる。中間可動域では、関節上腕靱帯は弛緩しており、以下の大きく3つの安定化機構が考えられている。関節窩の陥凹に対して、肩関節周囲筋によって上腕骨頭を圧迫することで生じる陥凹圧迫効果、関節内が陰圧に保たれることによる効果、肩関節周囲筋がバランスよく働くことによる効果である。そのうち関節窩軟骨は関節窩の陥凹を深くし、安定性を高める効果がある。 肩関節脱臼の多くは前方に脱臼し、関節窩前縁に付着する下関上腕靱帯と関節唇が剥がれる。その際に、軟骨損傷が57%が同時に生じていると報告されている。我々は関節窩軟骨欠損があると、肩関節の安定性が低下することを明らかにした。しかし、今まで、関節窩軟骨欠損と関節面の接触面積、接触圧の関係を調査した報告はない。 本研究の目的は、肩関節脱臼患者において、関節窩軟骨損傷が肩甲骨関節窩と上腕骨の間の接触圧にどのような影響を及ぼすか調査することである。 現在、新鮮凍結遺体5体が集まり、CT撮影を行い、肩関節DICOMデータを作成した。3次元画像解析ワークステーションを構築し、上腕骨と肩甲骨の3次元骨表面モデルを作成している。新鮮凍結遺体から、肩関節を切り出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
接触圧接触面積を測定するための、上腕骨と肩甲骨を固定し、一定の荷重かける装置の作成に当初の予定より時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
接触圧接触面積を測定するための、上腕骨、肩甲骨を固定するための特性の試験機を作成する。上腕と肩甲骨の3次元骨モデルから、固定ブロックを作成する。関節窩軟骨を3,6,9 mmの幅で、正確に切れる治具を作成する。肩甲骨と上腕骨の3次元骨モデルをプリントし、予備実験を行う。予備実験でデータが安定して収集できること確認したら、遺体肩10肩を用いて接触圧、接触面積のデータを収集する。
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Causes of Carryover |
上腕骨、肩甲骨を固定する実験装置に費用がかかるため、画像解析ワークステーションの費用の一部を実験装置の作成に回すことにした。翌年度は実験装置の作成を行い、実験を行う。
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