2022 Fiscal Year Annual Research Report
寄生虫感染モデルを用いたマウス小腸上皮における細胞間接着制御機構の解析
Project/Area Number |
21K20743
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
田中 美緒 宮崎大学, 医学部, 助教 (00910689)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 腸管寄生線虫 / 上皮細胞間接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は特異な侵入機構を持つ寄生線虫であるヴェネズエラ糞線虫が腸管上皮細胞間に侵入していく機構を形態学的および分子生物学的視点から明らかにすることを目的として行った。 最終年度は細胞間接着の中でもタイト結合関連の接着分子、特にclaudin-2およびoccludinの発現変化の解析およびヴェネズエラ糞線虫の腸管上皮侵入部位での透過型電子顕微鏡を用いた観察を主に行った。その結果、ヴェネズエラ糞線虫感染マウスの寄生虫侵入部位周囲でのみ、タイト結合タンパクclaudin-2の発現領域が拡大していることを観察し、糞線虫感染に伴い、感染部位局所的に腸管上皮細胞の細胞間接着分子の発現変化が起こっていることが示唆された。また、透過電顕による超微形態観察を通して、光学顕微鏡観察で推測された通り糞線虫侵入部位の上皮細胞の構造は保たれ傷害がほとんどないこと、細胞同士が開裂しているのは侵入部位の細胞のみでありそれに近接する上皮細胞の細胞間接着は正常に保たれていることが明らかになった。また、侵入している寄生虫に隣接する上皮細胞内部では正常の細胞間接着構造が観察できず、接着が破綻していることが示唆されたが、破綻している分子の特定までは至らなかった。 本研究を通して、これまで不明であったヴェネズエラ糞線虫の腸管上皮侵入動態の一部が明らかとなった。今後は透過電顕で得られた情報を基に細胞間接着分子を標的とした免疫電顕を用いながら解析を進めていく。
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