2022 Fiscal Year Annual Research Report
休眠中の動物が少ない酸素消費量でも生きられるのはなぜなのか?
Project/Area Number |
21K20749
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小野 宏晃 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (80908591)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | CRISPRスクリーニング / 合成生物学 / 休眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は肝臓をモデル臓器としたCRISPRゲノムワイドスクリーニングによって、休眠中の低代謝耐性に必須な遺伝子のリストを得ることにある。そのために、低代謝耐性を発動した細胞を標識し、その細胞における遺伝子型との相関を検出する必要がある。本年度は、前者への取り組みとして、scRNA-seqによって休眠中の肝臓細胞から低代謝に固有な応答を示す転写産物を探索し、低代謝耐性のマーカー分子を同定・標識することを目標とした。 動物が休眠状態になると、低代謝かつ低体温状態になる。したがって、実験データから低代謝と低体温を分離できるように実験条件を設定することが必要不可欠である。そこで、実験条件として“休眠”と“通常状態”に加えて、正常体温だが低代謝になる条件である“32℃環境下での休眠”と “32℃環境下での通常状態”の4群を設定した。この実験条件と、前年度に確立した肝臓細胞を高い生細胞率で分散させるプロトコルを組み合わせたscRNA-seqを実施した。その結果、“休眠”と“32℃環境下での通常状態”で発現が亢進するが、“通常状態”と“32℃環境下での通常状態”では発現が亢進しない転写産物を同定した。この転写産物は低代謝に固有な応答を示すことから細胞の低代謝状態の有用な分子マーカーになることが予想される。 次に、生体内で分子マーカーを標識するために、RNAを標的としたRNAスイッチを開発した。このスイッチはRNAそのものを標的とし、レポーター遺伝子などの任意のタンパク質発現を誘導することができる。培養細胞を用いた検討によって、RNAスイッチが動作することを確認しており、今後はS/N向上やバックグラウンドの低減を目指した最適化を進める計画である。
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Research Products
(1 results)