2021 Fiscal Year Research-status Report
SGK1リン酸化酵素の血管発生制御・内皮細胞シグナル伝達における機能メカニズム
Project/Area Number |
21K20751
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
原田 恭弘 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (70911402)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 心血管発生 / 内皮細胞 / リン酸化酵素 / SGK1 |
Outline of Annual Research Achievements |
SGK1リン酸化酵素はマウス胚において内皮細胞特異的に発現し、Sgk1欠損マウスは血管発生異常のため胎生致死となるが、内皮細胞におけるSGK1の上流・下流シグナル伝達経路はほとんどわかっていない。そこで本研究では、SGK1の血管内皮細胞における上流および下流シグナル伝達経路を同定し、血管発生制御および成熟機能調節におけるSGK1の機能様式と意義を明らかにすることを目的とした。 SGK1上流のシグナル伝達経路については、マウス・ヒトを含む生物種のSGK1遺伝子周囲ゲノム領域における種間保存性、クロマチン開放性(DNase-seq)、転写制御分子相互作用(RNA Pol II・p300)、ヒストン修飾(H3K27Ac・H3K4me1)などをin silico 解析を行った。さらに、トランスジェニックマウス胎仔lacZレポーターで検証を行うことによって、近位(転写開始点近傍)と遠位(500kbp上流)に内皮細胞特異的転写活性を持つエンハンサーを同定した。また、ChIPやluciferaseレポーターを用いた解析によってエンハンサー領域を数百bpまで絞り込み、両エンハンサーに共通して存在するETS転写因子コンセンサス結合エレメントが転写活性に必須であることを明らかにした。 SGK1下流のシグナル伝達経路については、活性欠損型・恒常活性型SGK1を発現させた培養内皮細胞のリン酸化プロテオーム解析を行い、内皮細胞制御や心血管発生に重要なことが知られる因子を含む複数の新規基質候補を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SGK1リン酸化酵素を中心とした内皮シグナル伝達ネットワークにおいて、SGK1上流の転写制御メカニズムの一端を明らかにし、論文として報告することが出来た。また、内皮細胞におけるSGK1基質の探索を行い、下流シグナルの解析につながる複数の新規基質候補を同定することが出来ている。 以上から、「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度同定した新規SGK1基質の機能解析を進める。新規基質には内皮細胞制御や心血管発生に重要なことが知られる因子も含まれるが、SGK1によるリン酸化・活性制御の意義は全く不明である。内皮SGK1機能の解析と並行して進めることで、SGK1を中心に形成されるシグナルネットワークの多面的な理解を目指す。
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Causes of Carryover |
初年度は、SGK1上流の転写制御メカニズムについての解析結果を論文にまとめたため、下流のシグナル伝達解析に用いるための予算を次年度に繰り越した。次年度は、SGK1下流シグナル伝達の解析を中心に実験を計画しており、新規基質探索のための網羅的解析等に当該予算を用いる予定である。
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Research Products
(3 results)