2021 Fiscal Year Research-status Report
シングルセルシーケンス解析を応用した重症EBウイルス関連疾患の病態解析
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21K20756
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 高子 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60908721)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症 / シングルセルシーケンス / EBウイルス感染細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(Epstein-Barr virus-associated hemophagocytic lymphohistiocytosis; EBV-HLH)の病態解明のため、異なる背景のEBV-HLH症例3例、EBウイルス(EBV)の典型的初感染像である伝染性単核症(EBV-IM)1例の急性期および回復期の血液検体、さらに対照として健常成人2例の血液検体を用い、シングルセルシーケンスによる解析を行った。1検体あたり2,203-4,912(中央値2,922)細胞/検体、計33,951細胞の末梢血単核球が解析に進むことが可能であった。全血のウイルス核酸定量検査結果で高ウイルス量を示したEBV-HLH3例全例でEBV関連遺伝子の発現を認める細胞群を抽出することが可能であった。一方、ウイルス量が比較的低値であったEBV-IM例では、EBV関連遺伝子の発現は検出されなかった。シングルセルシーケンスのシーケンスデータから、遺伝子発現パターンに基づいたクラスタリングを行い、各クラスタでの発現遺伝子より所属する細胞分画を特定した。EBV関連遺伝子の発現がみられた細胞群について、その所属する細胞分画が従来法で確認されている感染細胞と一致することを確認した。各細胞分画の細胞数の割合を算出し、比較検討を行った。また、同一系列の細胞分画について遺伝子発現パターンの違いを急性期回復期や症例対照間で比較検討を行った。また、EBV感染の有無による遺伝子発現パターンの違いについても比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例数が当初予定していた症例数には届いていないが、シングルセルシーケンスによる解析を行った全症例、各検体一定数の末梢血単核球の解析が可能であった。EBV-HLH症例では全症例EBV感染細胞が検出され、感染細胞、非感染細胞の比較検討も可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
新規の症例検体が得られれば、追加解析を行う。EBV-HLH急性期検体の各細胞分画での高発現遺伝子を抽出し、病態の中心となっている遺伝子発現調節経路を検討する。得られた解析データをまとめ、学会発表および論文投稿をめざす。
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Causes of Carryover |
目標症例数まで症例および検体の集積が進まず、次年度での症例、検体の収集を目指すこととなった。今年度使用予定であった試薬類、シーケンス費用は次年度に計上し使用する。
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