2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K20774
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
川口 達也 鳥取大学, 医学部, プロジェクト研究員 (30881594)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 急性脳症 / サイトカインストーム / Muse細胞 / NOD/SCIDマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
急性脳症(Acute Encephalopathy:AE)は主に小児において発症し、種々の感染症を契機に高熱に伴う痙攣重積、意識障害が生じ、高い死亡率を示す疾患である。 更に精神運動発達障害や難治性てんかんなどの重い後遺症を残すが、根治的な治療法は確立されていない。Multilineage-differentiating stress-enduring (Muse)細胞はヒトの骨髄間葉系幹細胞として発見され、多分化能をもつ。更に、傷害部位に選択的に集積し、自発的分化によって傷害を受けた細胞を置換・補充 し修復する作用をもつ事が示されている。本研究はAEモデルマウスに対するMuse細胞の治療効果を検討する研究である。2023年度はNOD/SCIDマウスのAEモデルマウスにMuse細胞とnon-Muse細胞、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)のそれぞれを投与し、生存率、体重変化率、RT-PCRによるサイトカイン(IL-6, IL-10, TNFα)の定量を行い効果判定を行った。Muse投与群、non-Muse投与群とPBS投与群において生存率と抗炎症性サイトカインの定量で有意差を得たが、Muse投与群とnon-Muse投与群の優位な差は乏しかった。脳の免疫染色ではMuse細胞を染色できず、ヒト特異的なDNA配列であるAlu配列の検出では、急性脳症後3週間後、2ヶ月後のMuse投与群において僅かにAlu配列を認めた。結果として本研究では、Muse細胞を投与した時期や急性脳症モデルマウスが重度の多臓器不全をきたす疾患であるという違いから先行研究と乖離した結果とはなっているものの、Muse細胞が急性脳症モデルマウスの生存率改善とサイトカインの制御に有用であることが示唆された。
|