2022 Fiscal Year Research-status Report
住血吸虫の成長・産卵を促すinitiation factor の探索と機序の解明
Project/Area Number |
21K20777
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 梨沙 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50645801)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Keywords | 住血吸虫 / 宿主自然免疫 / 寄生虫ー宿主間相互作用 / 感染免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
住血吸虫症の病態の主体は、体内に蓄積された虫卵であるため、幼虫の成長・産卵の制御は病態の抑制と伝播阻止に重要である。免疫応答が正常に機能しないマウスでは、住血吸虫の成長が阻害される。住血吸虫は宿主免疫機構を利用し成長・産卵することが示唆されるが、成長・産卵を促進するinitiation factor が存在するのか、いつ・どこで・どのように幼虫に影響を与えるのかは不明である。そこで本研究は、宿主の自然免疫細胞が住血吸虫の成長・産卵を促すinitiation factor であるという仮説を住血吸虫感染マウスモデルを用いて検証した。 これまでの検討の結果、一部の自然免疫細胞の欠損による住血吸虫の成長不良は、宿主に感染後、約1週間寄生する肺ではなく、感染2~5週目の腸管静脈寄生時に起こることが示唆された。そこで、R4年度は、一部の自然免疫細胞がこの成長不良に関与するのか検証するため、住血吸虫感染マウスへの抗体投与実験ならびに種々の細胞移入実験を行った。種々の免疫細胞を欠失させたり、移入し補うことで、住血吸虫の成長・産卵への各種免疫細胞の影響を宿主生体内で観察することができた。その結果、ある種の自然免疫細胞が住血吸虫の成長・産卵に影響を与えることを見出した。引き続き今後は、宿主自然免疫細胞がどのように住血吸虫の成長不良・虫卵数の減少に影響するのか、自然免疫細胞が産生する免疫因子の特定とその機序を解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R3年度の研究結果を受けて、R4年度は、住血吸虫の成長不良・虫卵数の減少に影響する宿主自然免疫細胞を特定するため、種々のin vivo抗体投与実験や自然免疫細胞の養子移入実験を行い、ある種の自然免疫細胞が住血吸虫の成長・産卵に関与することを見出した。しかしながら、予定していた目標の一つである、特定した自然免疫細胞がどのような機序で住血吸虫の成長に影響を及ぼすのかについてはR4年度内に結論を導き出すことができなかった。 R4年度は、研究代表者の妊娠により、予定していた検討が実施できなかったこと及びR4年度中に産休に入ったことが進捗状況に影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、R4年度に見出した、自然免疫細胞の動態及び生理活性物質産生能と住血吸虫の成長・産卵の相関性を探る。さらに、住血吸虫感染免疫不全マウスを用いたin vivo の免疫学的解析を中心に行い、特定した自然免疫細胞が産生する免疫因子の特性と住血吸虫の成長・産卵を制御する機序を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
研究代表者がR4年度内に産休に入ったため。 研究課題を遂行するために必要な実験消耗品、共同機器・施設利用料等に使用する。
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Research Products
(3 results)