2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of functional significance of ZNF395 downregulation and development of novel therapeutic strategy for pancreatic ductal adenocarcinoma.
Project/Area Number |
21K20779
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
黒木 秀作 大分大学, 医学部, 技術専門職員 (50905213)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ZNF395 / 膵癌 / 細胞周期 / ストレス応答MAPキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、膵癌においてZNF395発現低下に伴うJNK不活化の分子メカニズムを解明するために、ドキシサイクリン誘導性にZNF395を発現する膵癌細胞株(2株)を用いてマイクロアレイによる網羅的発現解析を実施した。私のこれまでの研究において、ZNF395の発現低下は細胞周期の脱制御を介して増殖能を亢進させることが明らかになっている。そこで、ZNF395の発現誘導後早期に、細胞周期に関連するシグナル分子の発現変動が引き起こされると仮説を立てた。そして、遺伝子発現を比較するタイミングを、ドキシサイクリン処理前とドキシサイクリン処理から12時間後に決めてRNAを回収した。コントロール細胞株としては、ドキシサイクリン誘導性にRed Fluorescent Protein(RFP)を発現する細胞株(2株)を使用し、同様にドキシサイクリン処理前とドキシサイクリン処理から12時間後にRNAを回収した。これらのRNAを用いてマイクロアレイによる網羅的発現解析を施行した。これまでの報告において、ZNF395は転写因子として機能することが示唆されていることから、ZNF395の発現誘導に伴って発現が亢進する遺伝子に着目し解析を進めた。その結果、ドキシサイクリン処理前と比較してドキシサイクリン処理12時間後に発現が4倍以上増加した遺伝子を10遺伝子抽出した。今後は、これらの10遺伝子について、パスウェイ解析とリアルタイムPCRによるバリデーションを実施していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施計画は、①ZNF395発現低下に伴うストレス応答MAPキナーゼ経路JNK不活化の意義の解明と、②ZNF395の発現・欠失に伴って変動する細胞周期関連分子やシグナル経路の同定であり、具体的な実施項目は以下のとおりである。 1. JNKの上流シグナルが変動しているかを調べる。 2. ZNF395の発現誘導に伴って変動する細胞周期関連分子やシグナル経路を調べる。 3. 同定したシグナル経路を構成する分子について、阻害剤等を用いて機能解析を施行する。 このうち1と2については、マイクロアレイによる網羅的発現解析を実施し、ZNF395誘導後に発現亢進する遺伝子を10遺伝子抽出した。現在、これらの遺伝子について検証を進めているところである。3については、パスウェイ解析で得られたシグナル分子について順次機能解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果として、ZNF395の発現誘導に伴って変動する遺伝子を10遺伝子抽出した。今後は、これらの遺伝子が関与しているシグナル経路について解析を進め、新たな治療標的としての可能性を検証していく。 1. パスウェイ解析で得られたシグナル経路の概観をもとに、治療標的となりうる候補分子を特定し、in vitroで機能解析を実施する。 2. 今年度の実験では、ZNF395の発現誘導を開始してから12時間後にRNAを回収し網羅的発現解析を施行した。しかし、抽出された遺伝子が想定よりも少なかった。そこで、より早期に変動する遺伝子が存在するか検証するため、ZNF395の発現誘導開始から6時間後のRNAを用いて再度発現解析を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、細胞培養や細胞機能解析に使用する資材および消耗品の流通が滞り入手困難となったため、他の研究のためにすでに購入していた資材および消耗品を代用し研究を進めた。また、研究成果発表のために学会への出席を計画していたが、オンラインによる開催となったため想定よりも少ない予算で研究成果を発表することができた。 今年度の未使用額については、研究成果の検証のためのリアルタイムPCRに必要な消耗品、および追加で実施する遺伝子発現解析に必要な消耗品に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)