2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント分子B7-H3とオートファジーの共制御による尿路上皮癌の抑制
Project/Area Number |
21K20783
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
小山 雄一 麻布大学, 生命・環境科学部, 助教 (70907998)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント分子 / B7-H3 / オートファジー / 尿路上皮癌 / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor: ICI)の治療効果には腫瘍局所における免疫活性が必要であるが、癌細胞は様々な機序で癌免疫を抑制するため、単にICIを投与するのみでは十分な治療効果が得られない。近年、癌免疫抑制の機序として、癌細胞におけるオートファジーを介した免疫調整作用が注目されており、オートファジーの制御による腫瘍局所の免疫活性増強を介したICIの治療効果向上が期待されている。本研究では、B7-H3とオートファジーの共制御が癌免疫活性に及ぼす影響について尿路上皮癌細胞株を用いて解析する。 これまでに得られた実験結果は次の通り(①~④)である。①マウス膀胱癌細胞株MBT-2の培養条件の決定し,同細胞株からアガロースを利用したセルブロック標本を作製して免疫細胞化学的にB7-H3の発現を確認した。②オートファジー阻害がMBT-2の細胞増殖に及ぼす影響を明らかにするために,クロロキン二リン酸塩を種々の濃度で作用させLDHアッセイで細胞傷害率を測定したところ,濃度依存性にMBT-2が傷害されることが明らかになった。③B7-H3のblockingがMBT-2の細胞増殖率に与える影響を明らかにするためにAnti-mouse B7-H3抗体を種々の濃度で作用させたところ,いずれの濃度においても細胞増殖に明らかな影響は認められなかった。④免疫細胞によるMBT-2の細胞傷害実験の条件を決定するために,IL-2を種々の条件でマウス脾内白血球に作用させたところ,200 U/mLの濃度で4日間刺激することで細胞傷害(35%程度)が認められることが明らかになった。 現在,B7-H3のblockingおよびオートファジー阻害がマウス脾内白血球によるMBT-2の傷害にどのような影響を与えるかを明らかにするために実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度までにB7-H3のblockingおよびオートファジー阻害がマウス脾内白血球によるMBT-2の傷害にどのような影響を与えるかを明らかにする予定であったが,anti-mouse B7-H3抗体の作用が安定せず,条件検討を繰り返したため当初の予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにいくつかの基礎的な実験結果が得られたたため,今後は他の免疫チェックポイント分子との比較も行いながら最適な条件を決定し,本実験系における癌免疫活性に影響を与える因子について同定していく。具体的には共培養系における細胞株のオートファジー、免疫関連因子の発現レベルをフローサイトメトリー他で解析し,さらに、培養上清に含まれるGranzyme B、IL-10およびTGF-β等の液性因子をELISA法で測定する。これらの解析により、癌免疫活性に影響を及ぼす因子および腫瘍抑制の機序を解明する。
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Causes of Carryover |
当初の予定より研究の進行がやや遅れたことにより本年度中に発注予定であった抗体や測定キット等の購入が滞ったため次年度使用額が生じた。次年度以降,研究の進行状況に合わせて順次購入していく。
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