2022 Fiscal Year Annual Research Report
全身性エリテマトーデス(SLE)に対するCAR-T療法の治療応用に向けた基盤研究
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21K20784
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
有冨 貴史 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (20907357)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | CD11c / 全身性エリテマトーデス / CAR-T / B細胞 / T-bet / FcRL |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス (SLE)の病態形成において、B細胞は中心的な役割を果たしている。近年、Chimeric Antigen Receptor T cell (CAR-T)療法を、自己免疫疾患の治療に応用する試みとして、SLE患者に対するB細胞を標的としたCAR-T療法の有効性が報告された。しかしながら、B細胞全体を標的とする治療は、治療抵抗性や有害事象が懸念される。近年、T-bet+CD11c+B細胞が自己抗体産生や腎炎などSLE病態に深く関与することが明らかとなった。そこで病的B細胞サブセットを選択的に制御するため、T-bet+CD11c+B細胞を標的としたCAR-T療法の開発を計画した。 CD11cはB細胞以外にも樹状細胞等に発現されることが知られ、CD11cをCAR-T療法の標的とした場合、B細胞以外の細胞が障害される可能性が懸念された。そこで、in silico解析により、CD11c以外の分子でT-bet+CD11c+B細胞に対するCAR-T療法の標的因子抽出を試みた。SLE感受性遺伝子のうち細胞膜に発現する遺伝子、かつB細胞で特異的に発現する遺伝子を選別し、FcRL5, BACE2, BANK1が抽出された。この中でも特にFcRL5に関しては、CD11cと同様にNaive B細胞やDN B細胞など我々が標的として考えているB細胞サブセットに強く発現していることが明らかとなった。 今後は、FcRL5がSLE患者T-bet+CD11c+B細胞において実際に発現しているのか、他の免疫担当細胞に発現はみられないか(B細胞特異的か)、B細胞機能発揮における重要性、SLE病態との関連性などについて、順次検討を進めていく。その上で、標的として有用であることが確認されれば、CAR-T細胞の作成に向けて、さらに検討を進める方針である。
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