2021 Fiscal Year Research-status Report
Borrelia miyamotoiの自然免疫回避機構に関する研究
Project/Area Number |
21K20785
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
佐藤 梢 国立感染症研究所, 細菌第一部, 流動研究員 (70911189)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 新興回帰熱 / ボレリア / 自然免疫 / 血清感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Borrelia miyamotoiのヒト自然免疫機構から逃避するメカニズムの解明を目的として、これまでに,国内で分離された血清感受性のボレリア株より,形質転換効率が高く,かつ血清感受性を定量可能なBorrelia garinii HT59G 株(HT59G株)の樹立に成功した.さらに,この株を用いてB. miyamotoi 外膜抗原遺伝子群の発現ライブラリーを作成し,これら形質転換株の中から血清感受性を指標とし、既知とは異なる機能未知の血清耐性化に関連する3遺伝子(A,B,C遺伝子)を新たに単離した.本研究では,未解析である3遺伝子について,その血清耐性化機構の解析を実施した. HT59G株にA, B, C遺伝子を各々導入し得られた形質転換株(以下,A株,B株,C株)の生存率を見るために、抗ボレリア抗体が陰性である健常者血清,ならびにその熱不活化血清を用いた血清感受性試験を行った.生成されたコロニー数から生存率を算出した結果,A株:21.1%, B株:24.8%,C株:5.7%を示し,mock株:0.2%との比較では,いずれの株も生存率に有意な差が見られた. 病原体のヒト血清に対する耐性メカニズムとして,病原体の外膜タンパクと補体系を負に制御する因子(H因子等)の結合が重要であることが多い.このことから,前述の実験で生存率が比較的高く見られたAならびにB抗原と結合する血清中の補体制御因子の検出を試みた.Far western blotやPull-down assayを用いて検出を試みたが,補体制御因子特異的抗体との反応は見いだせなかった。これらの遺伝子はいずれも機能未知の因子である.また,これらの因子は既知の血清耐性因子との相同性が20%以下であり,且つ共通のmotifも見られない。このことから既知のメカニズム以外による血清耐性機構の可能性も考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能未知の3遺伝子は血清耐性化に関わる因子である可能性が強く示唆された.Far western blotやPull-down assayを用いたB. miyamotoi 外膜タンパクに結合する血清補体制御因子の検出はできなかったが、引き続き異なる方法で研究を実施中である.
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Strategy for Future Research Activity |
血清耐性に必要な抗原ドメインの同定ために,遺伝子を3’または5’末端側より段階的に欠失させた変異体をB. garinii HT59G株を用いて作成し,これを用いて血清感受性試験を実施する.これにより,これら遺伝子の中での,血清耐性に必要な領域を決定する. また,既知のメカニズム以外による血清耐性機構の可能性が予測された場合には、その可能性についても検討を加える予定である.
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが令和4年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。令和3年度分についてはほぼ使用済みである。
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