2021 Fiscal Year Research-status Report
「がん代謝」を標的とした、神経芽腫に対する新規治療の創出と抵抗性の克服
Project/Area Number |
21K20795
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 健太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20645006)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / がん代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、神経芽腫の「がん代謝」を標的とする投薬を行った際の腫瘍に起こる変化を観察することで最適な併用療法について選択し、臨床に結びつく新規治療を創出するために、腫瘍モデルマウスを用いた投薬実験および投薬後の腫瘍検体を用いた多角的な解析を行う研究である。本年度は、腫瘍モデルマウスにおける投薬の効果を腫瘍サイズの経時的観察や、摘出腫瘍の性状の観察を行うことで検証した。また、投薬薬剤の組み合わせの変更によりこれらの効果およびマウスの体調に与える影響が変化するかについての観察を行った。検討した投薬条件の範囲においてはマウスの体調および体重などに悪影響は観察されず、本治療において期待される従来の治療と比較しての高い安全性が確認できた。また、投薬による腫瘍増殖の抑制効果については、先行研究から想定されるものと同等以上の効果が観察された。投薬後の摘出腫瘍検体を用いた各種解析を計画している一方で、候補薬剤の治療効果が強く腫瘍の壊死が広汎に生じるため解析検体が得られにくいことが課題であった。このため投薬条件の最適化を行うための予備実験を追加で実施した。投薬日数および腫瘍摘出までの日数などの調整を行い、いずれの条件においても副作用の問題は生じず、コントロールと比較して投薬効果がみられると同時に広汎な壊死は生じず解析に耐えうる検体を収集できる条件の最適化を行うことができた。来年度はこれらの結果をもとに摘出検体に対する各種の解析を実施し、候補薬剤の投薬効果のメカニズムの検証およびさらなる併用薬剤の検討をすすめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた免疫抑制マウスに対する候補薬剤の投与実験を実施している。予備実験において、解析に適した検体が得られない事例が複数みられたことから、実験条件の変更および最適化を行うために追加の予備実験を要した。これにより摘出腫瘍に対する解析を十全に行える条件を確定できた。一方で、これらの実験を反復するために時間を要したこと、また計画している網羅的解析の検体は同時に多数を得る必要があることから、検体収集による網羅的解析の実施は次年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度で確定した投薬条件をもとにして腫瘍マウスモデルに対する投薬実験を継続する。腫瘍から摘出した検体からの抽出物に対しての各種網羅的解析を行い、その結果を統合解析することにより、投薬に伴う腫瘍細胞の反応について、殺細胞効果ならびに代償性の変化についての考察を行う。さらに、代償性の変化と考えられる反応については、その反応をさらに阻害する薬剤を選定することにより、さらなる治療効果の増大をもたらす併用薬についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
免疫抑制マウスを用いた実験を行うにあたり、候補薬の薬効が想定以上に強いことから、多くの数量に対する本格的な実験を行う前に予備実験を行う必要が生じた。このため、消耗品に用いた金額が予定よりも少なくなった。これは次年度に持ち越したため、次年度に本実験を行う際に使用する予定である。また、新型コロナウイルス感染症の状況から、旅費を用いることがなかった。これは次年度の状況次第で使用する予定である。
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