2022 Fiscal Year Annual Research Report
「がん代謝」を標的とした、神経芽腫に対する新規治療の創出と抵抗性の克服
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21K20795
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 健太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20645006)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / がん代謝 / 小児がん / 発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経芽腫の「がん代謝」を標的とする候補薬剤の最適な使用方法を探求し、新規治療戦略の創出に結びつけることを目的としている。これを達成するため、腫瘍モデルマウスに対して候補薬剤を投薬した際に腫瘍に生じる変化を観察・解析することが主な研究計画であった。最終年度である令和4年度には、令和3年度に行った条件検討の結果を踏まえて、薬剤の効果による腫瘍の壊死・縮小が見られるよりも前に腫瘍の摘出を行い、投薬による細胞死に至る前に生じる変化の観察を行った。具体的には、投薬後に摘出した神経芽腫腫瘍からのRNAの抽出、およびRNAシークエンスによる発現解析を行い、個別遺伝子の発現状況を観察するとともに、遺伝子セットエンリッチメント解析により、投薬により腫瘍細胞内でどのような機能・経路が変動しているかの解析を実施した。結果として、投薬によりいくつかの細胞内機能および経路が減弱・亢進していることが観察された。投薬により減弱する経路は細胞の生存・増殖などに関与するものが多く、これは投薬により腫瘍の増殖が抑制されることから予想できるものであり、逆に該当の候補薬剤が阻害する酵素の腫瘍細胞における本来の役割であることが想定された。一方で、投薬により増強する経路も複数存在し、投薬ストレスに対する代償反応であることが推察された。また、細胞内代謝の変動を反映した経路の増強も観察され、候補薬剤ががん代謝に対して干渉することにより腫瘍増大の抑制を行うことの裏付けが得られた。今後は本成果をさらに詳細に解析することにより、さらなる併用療法などの最適化をすすめることを予定している。
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[Journal Article] Identification of the ultrahigh-risk subgroup in neuroblastoma cases through DNA methylation analysis and its treatment exploiting cancer metabolism2022
Author(s)
Watanabe K, Kimura S, Seki M, Isobe T, Kubota Y, Sekiguchi M, Sato-Otsubo A, Hiwatari M, Kato M, Oka A, Koh K, Sato Y, Tanaka H, Miyano S, Kawai T, Hata K, Ueno H, Nannya Y, Suzuki H, Yoshida K, Fujii Y, Nagae G, Aburatani H, Ogawa S, Takita J.
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Journal Title
Oncogene
Volume: 41
Pages: 4994~5007
DOI
Peer Reviewed / Open Access