2022 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における低侵襲で経時的測定可能な新規バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
21K20809
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中村 有貴 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30909528)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | リキッドバイオプシー / circulating tumor DNA / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、我々は、従来の血中循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA, ctDNA)を超えるバイオマーカーの探索、具体的には、より低侵襲で経時的測定を可能とする尿中ctDNA測定の有用性を検討課題として、大腸癌周術期における尿中ctDNAの測定を開始した。 大腸癌周術期に血液と尿の採取を行い、血中および尿中遊離DNA(cell free DNA, cfDNA)を抽出し、KRAS遺伝子をターゲットとして、デジタルPCR法を用いて、血中および尿中のKRAS変異ctDNAを測定した。 当科で大腸癌手術を行った78例(StageⅠ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ:5/13/12/12例)を対象として測定したところ、血中KRAS変異ctDNAの検出率は術前20.0%、術後1日目7.9%、術後14日目以降6.0%、尿中KRAS変異ctDNAの検出率は、術前12.8%、術後1日目49.4%、術後2日目50.5%、術後7日目27.6%、術後14日目以降30.0%であり、尿中ctDNAは血中ctDNAよりも検出率が高い傾向にあった。また、尿中ctDNAの経時的変化を折れ線グラフ化し複数にパターン化できた。 観察期間が短いため、現時点では、尿中ctDNAの経時的変化と再発および予後との関連については評価できていないが、本研究におけるこれまでの結果から、尿中ctDNAは低侵襲かつ経時的に測定可能であり、有用なバイオマーカーとなりうる可能性があると示唆された。
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