2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of the EGFR pathway characteristic of HPV-related oropharyngeal cancer
Project/Area Number |
21K20813
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鈴木 陽 順天堂大学, 医学部, 助教 (10912975)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | ヒトパピローマウイルス(HPV) / 上皮成長因子受容体(EGFR) / HPVウイルスゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトパピローマウイルス感染に起因する中咽頭癌(HPV中咽頭癌)では抗EGFR薬が使用されるが、抗EGFR薬効果の乏しい症例も多く副作用も強いことから、同薬のHPV中咽頭癌への治療効果予測因子と独自の治療選択法の確立が求められる。しかし、HPV中咽頭癌の研究の歴史は比較的浅く、臨床応用可能な検証がなされていない現状がある。 申請者はこれまでに、HPV中咽頭癌特有の病理像を認め、これに関連しEGFR発現が低いこと、またその機序としてウイルスゲノムの関与の可能性を見出し報告してきた。しかしながら、依然として詳細な機序の解明は不十分であるため、本研究ではHPV感染株化細胞を用いたパスウエイ解析を行い、ウイルスゲノムとEGFR下流経路動態の関連を明らかにすることを目的としている。これらに伴い、HPV中咽頭癌特有のEGFRパスウエイ異常を明らかにすることで独自の治療法の重要なデータを提供し、新たなる治療戦略の道を切り開くことが可能となる。 HPV中咽頭癌においてEGFR経路の各因子の動態を解析し、また、その他の癌関連パスウエイ動態を網羅的に解析した。EGFR経路因子の動態に強い関連を示す、①ウイルスゲノムとEGFR蛋白発現量との関係性 ②リン酸化抗体を用いたPI3K-Akt経路因子の免疫染色による評価を行った。I.培養細胞を用いたEGF下流パスウェイの活性化状態評価として ①HPVウイルス感染特異的なシグナル伝達系の同定 ②網羅的遺伝子発現解析を施行した。II.ヒト組織での活性化シグナル経路の検証と株化細胞での治療標的の探索として ③活性化シグナル経路の検証 ④各種阻害剤による抗腫瘍効果の判定を行うことを計画した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在収集しているサンプルは、過去の研究で使用し残検体が少なくなっているものもあるが、それらが病理検体の同切片での再収集が困難となっている。もともとのパラフィンブロックの検体が少なくなっていることが原因と考える。これまでの検体サンプルの見直しを行うこと、また新たにサンプルを収集し直すことが必要とされるため、時間を要している。また、新型コロナウイルスの対策で思うように研究の時間が確保することが困難となってしまったことも要因として考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、これまでの研究内容と同様のものを病院保存の別サンプルを準備して行い、各症例ごとのデータを出し直すことに努める。今後新たな症例を追加していきながらある程度の数が集まった段階で上述の、培養細胞を用いた「EGFR下流パスウェイの活性化状態評価」から始める必要があると考える。また、それでも研究の進捗が遅れていると判断される際は、大学内の同講座内の研究員などにも協力を仰いだり、外部機関へ検体作成を発注依頼し、進めていく予定である。最終的には、II.ヒト組織での活性化シグナル経路の検証と株化細胞での治療標的の探索までを完遂させ、HPV中咽頭癌特有のEGFRパスウエイ異常を明らかにすることで、新たなる治療戦略を見出すことを目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大で対策に時間を取られ、十分な検体作成を推進することが困難であり、検体作成のために計上した物品費を満たすことができなかった。また、国内外の学会がオンライン参加となり、出張費として計上した旅費を計画通り消費するに至らなかったことが原因である。研究環境が改善次第、前述の物品購入および現地での学会発表と情報収集を積極的に行う予定である。
|