2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Predictive Markers for Sensitivity to Fibroblast Growth Factor Receptor Inhibitors Using Colorectal Cancer Stem Cells
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21K20818
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
山本 健人 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 腫瘍研究部, 研究員 (10909310)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 線維芽細胞増殖因子受容体阻害薬 / 大腸癌 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、悪性腫瘍に対する新規分子標的治療薬として、近年注目を集める線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬の、大腸癌への適用を目指すものである。FGFRはがん細胞表面に発現し、下流のシグナル伝達経路をEGFRと共有する膜タンパクである(図1)。FGFR阻害薬はFGFRからのシグナルを遮断することにより、がん細胞の増殖を抑制することができる。 これまで、2019年にFGFR3遺伝子変異を有する転移性尿路上皮癌に対しFGFR阻害薬であるerdafitinibが初めてFDAで承認され、2020年にはFGFR2遺伝子転座を有する進行胆道癌に対してpemigatinibが承認された。しかし、大腸癌ではFGFR阻害薬の感受性を予測する遺伝子マーカーが同定されておらず、今のところ承認の見通しはない。 本研究の主目的としては、(1)大腸癌においてFGFR阻害薬に対する感受性予測マーカーを同定することと、(2)患者検体を用いて薬剤投与前の感受性診断を可能にすることの2点を挙げている。大腸癌に対して感受性を有する患者を事前に予測できれば、大腸癌患者のみを対象とした臨床試験を行うことができ、FGFR阻害薬の応用に一歩近づくと考える。 当該年度においては、大腸癌患者由来幹細胞を用いた遺伝子発現解析を31検体分行い、バイオマーカーとなりうる候補を複数絞り込むことができた。今後、さらなる症例の集積を行う方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において行った研究内容としては、(1)大腸癌患者から癌幹細胞スフェロイド(3D培養細胞塊)を樹立し、これらから質の高いRNAサンプルを採取、これを用いてRNA-seq解析を行い、遺伝子発現レベルを調べたこと、(2)大腸癌患者由来癌幹細胞を利用し、FGFR阻害薬の感受性試験(in vitro)を行い、感受性の有無を計測したことの2点が挙げられる。 当該年度においては、原発巣切除が行われた大腸癌患者31例を対象に上記の解析を行い、感受性診断に有用なバイオマーカーの確立を目指す上で、おおむね順調に進呈していると考えている、
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究をそのまま進める形で、大腸癌患者の原発巣検体から樹立した幹細胞スフェロイドを約20例追加し、合計50例を超えるデータを用いて解析を行う予定である。前述の通り、FGFR阻害薬に対する感受性診断に有用な遺伝学的マーカーを探索するとともに、これらのマーカーと予後と関連性についても解析する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度は研究立ち上げ後の期間が短く、特に遺伝子解析のためのスフェロイド培養、RNA採取等の準備に時間を要したため、初年度の使用金額は少なくなったが、次年度は多数の遺伝子解析を計画しており(一部すでに遂行)、2022年4月から7月にかけて解析費用として100万円以上の出費が予想される。
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