2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K20822
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堂地 大輔 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30907704)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 前癌状態 / 制限点 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピロリ菌を使用した実験系に先立ち、正常胃上皮幹細胞を標識できる遺伝子改変マウスであるIqgap3マウスと胃癌の発生に関連するRUNX3のmutationを持つRUNX3(R122C)ノックインマウスを使用して、胃癌発生と幹細胞との関連を探索する実験計画を立てることにした。RUNX3(R122C)マウスから胃組織を採取したあと、組織学的および蛍光免疫染色、オルガノイド培養を実施した。また、Iqgap3マウスとRUNX3(R122C)マウスを掛け合わせて、フローサイトメトリーにより胃の上皮幹細胞と非上皮幹細胞を分離してトランスクリプトーム解析を行った。6か月齢のRUNX3(R122C)ホモマウスの胃体部組織は、組織学的に前癌状態を呈することが判明した。また、急速に増殖する胃上皮幹細胞/前駆細胞の増加と分化停止を認めた。フローサイトメトリーから単離した胃上皮細胞のトランスクリプトーム解析からは、野生型と比較して、RUNX3(R122C)マウスの上皮幹細胞では、細胞周期に関連するMYC遺伝子の関連遺伝子群が上昇していることが判明して。また、in vitroの実験では、RUNX3(R122C)変異は、細胞周期の増殖状態(G1)と静止状態(G0)のどちらに入るかを決定する制限点 (Restriction point) の制御を乱し、幹細胞の増殖 (self-renewal)を促す一方で、その分化(differentiation)を抑制していることがわかった。したがって、胃上皮幹細胞/前駆細胞の細胞周期が崩れることにより、前癌状態が形成されることが示唆された重要な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃上皮幹細胞/前駆細胞の細胞周期のバランスが崩れることにより、前癌状態が形成されることが示唆されたことより、胃癌発生には幹細胞の関与が重要であることが分かった。したがって、当初仮説としてあげた、「正常上皮幹細胞の性質が改変され、胃癌の発生母地(前癌病変)を作っているのではないか」という仮説に対して、positiveな結果が得られたことは研究が進展していることを表している。現在、ピロリ菌感染モデルと薬剤誘導性前癌病変作成モデルなどの実験に進展できるように研究計画を検討している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究の目的であった、ピロリ菌が胃上皮幹細胞に感染し、幹細胞の性質を改変し、胃癌の発生母地を作っているのではないかという点に、今後は取り組む予定である。今後は、ピロリ菌感染モデルと薬剤誘導性前癌病変作成モデルなどの実験まで発展させて、そのような状況下では幹細胞において正常な状態と比べてどのような差があるのかを確かめる実験計画を組みたいと思っている。
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Causes of Carryover |
2021年9月から半年間、青森県にある五戸病院外科に常勤として勤務していたこともあり、東北大学の実験室に勤務する距離的・時間的な制約が生じた。当初予定していた実験を変更(やや縮小)しないといけない状態にもあったので、次年度からは東北大学病院助教として常に勤務していることもあり、実験規模を拡大したいと考えている。次年度使用額が生じた分は、ピロリ菌感染モデルと薬剤誘導性モデルの実験系に研究費を充当したいと考えている。
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[Journal Article] A Point Mutation R122C in RUNX3 Promotes the Expansion of Isthmus Stem Cells and Inhibits Their Differentiation in the Stomach2022
Author(s)
Douchi D, Yamamura A, Matsuo J, Lee JW, Nuttonmanit N, Melissa Lim YH, Suda K, Shimura M, Chen S, Pang S, Kohu K, Kaneko M, Kiyonari H, Kaneda A, Yoshida H, Taniuchi I, Osato M, Yang H, Unno M, Bok-Yan So J, Yeoh KG, Huey Chuang LS, Bae SC, Ito Y.
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Journal Title
Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology
Volume: 13
Pages: 1317~1345
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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