2021 Fiscal Year Research-status Report
神経内分泌腫瘍の治療方針の層別化~臨床病理学的アプローチとバイオマーカーの検索~
Project/Area Number |
21K20829
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浅野 大輔 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (90910175)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 神経内分泌腫瘍 / 神経内分泌癌 / 悪性神経内分泌腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性神経内分泌腫瘍の定義ははっきりとなされていないが①多発転移を伴う神経内分泌腫瘍、または②G3の神経内分泌腫瘍おおよび神経内分泌癌が該当すると考えられる。我々は、②においてはKi-67 indexを指標に手術適応を決定することが望ましいとの報告を過去にしている。今回は、①に注目して当院で2005年から2020年に手術加療された肝転移を伴う神経内分泌腫瘍患者を後向きに検討した。45例が治癒切除を施行され、24例でR2切除を施行されていた。45例の治癒切除をなされた患者について検討すると、NETG1に関しては極めて予後良好であり、NECについては極めて予後不良であった。NET-G2/3患者が最も患者数が多く、その中間の予後を示したため、このG2/3 39例に着目して解析を行なった。すると、一般的に他癌種の肝転移患者において良好な予後因子とされる肝転移が異時性であることや、術前化学療法の施行は予後因子とならず、唯一肝転移巣3個以下であることが良好な予後因子として示された。このことから、肝転移を伴うG2/3患者においては、術前化学療法の有用性は乏しく、3個以下の転移巣に限定される患者においては手術治療が有用である可能性が示唆された。 臨床因子以外の予後因子を検索すべく、肝転移巣ならびに原発巣の同時切除を施行された患者で、凍結標本を保存されていたものについて、その原発ならびに転移組織よりRNA抽出を行い、解析に提出した。臨床データと本解析結果を統合し、新たに報告する予定である。また、複数の肝転移を有する患者において複数箇所の肝転移巣切除をおこなった場合には、その各転移巣の組織を凍結保存した。今後DNA抽出を行い解析をすることで、多発肝転移を有する患者の転移経路を解析する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当院の臨床データ集積は順調に行えている。RNA抽出ならびに解析については現在順次進行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに凍結保存してある臨床検体のRNA抽出ならびに解析をさらに進め、臨床データとの統合を行い、解析を進める。 また複数箇所の肝転移に対して同時切除を施行した場合には、可能な限り全ての組織を凍結し、DNA解析することで、転移形式の解析を進める。
|
Causes of Carryover |
RNA抽出に関して一部内容がオーバーラップする共同研究者の研究費を用いて施行したため当該研究費に余剰が生じた。今年度は本研究費を使用しての大規模な解析を予定している。
|