2023 Fiscal Year Research-status Report
個別化医療の臨床応用を目指した胆道癌同所移植マウスモデルの開発
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21K20831
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高田 智司 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (60594504)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Keywords | 患者由来腫瘍同所移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、未開発の胆道癌の患者由来腫瘍同所移植(Patient Derived tumor Orthotopic Xenograft:以下、PDOX)マウスモデルの確立である。マウス胆管への有効なカテーテルの挿入法の確立と癌細胞を胆管内へ注入することで移植可能かという点についてまず検討を行う方針としている。最終的には患者由来胆道癌細胞をヌードマウス胆管内へ移植し、生着させ腫瘍の進展や悪性度の評価を行うことを目指す。このモデルは個別化医療を目的とした情報集積のツールとして利用可能である。令和4年度はマイクロカニュレーションシステムを用いてマウス胆管へカニュレーションを行い、細胞外マトリックスゲルに混ぜたヒト胆管細胞株のHUCCT-1を注入し生着の度合いを観察した。動物用エコーVevo2100を用いて週1回胆管および肝臓を観察した。さらにマウス血清CA19-9の測定を行った。HUCCT-1の細胞数や観察期間の調整を行ったが、結果的には生着が得られなかった。 マウスは胆管が非常に細く手技的な難易度が高いため、令和5年度はまず免疫不全ラットを用いて同所移植手技を確立することを目標とした。ラットの分枝胆管を確保し、カニュレーションした後に、マトリゲルに混ぜたHUCCT-1の注入を行った。ラットでは尾静脈より間欠的に採血を行うことができるため、定期的に血清CA19-9を測定した。また、動物用エコーで腫瘍の増大経過を観察した。その結果、CA19-9の上昇と腫瘍の描出が可能となった。肝臓を観察したところ、肝門部に腫瘍形成を認めていた。また、多発肝腫瘍を認めた個体や肺転移を認めた個体が観察された。 胆管癌患者由来オルガノイドを用いて、同様の手技で免疫不全ラットに同所移植を行った。移植手技は問題なく施行できたが、腫瘍の浸潤や転移は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスによる同所移植の難易度が高いため、ラットでのモデル作成と評価を行っている。今後、実際にヌードマウスもしくはNSGマウスを用いてマウスへの移植手技を確立しようとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫不全ラットでは、胆管への同所移植手技はほぼ確立できた。また、患者由来オルガノイドも免疫不全ラットであれば生着可能であることが証明できた。ラットの実験で会得した実体顕微鏡下のマイクロサージェリー技術を用いて今年度はマウスへの同所移植手技の確立を目指す。また、患者由来オルガノイドの移植により浸潤・転移能の評価も進める。
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Causes of Carryover |
免疫不全ラット、マウスの購入し、動物の管理用に次年度使用額が発生している。動物のケージ交換など維持管理の費用として使用する予定である。
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