2021 Fiscal Year Research-status Report
抗HER2抗体薬物複合体に耐性を付与するHER2胃癌のゲノム異常と微小環境の探索
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21K20839
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 享子 九州大学, 大学病院, 助教 (50896933)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | HER2陽性胃癌 / 抗体薬物複合体 / がんゲノム異常 / 三次リンパ装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
HER2陽性の胃がんに対して、国内では抗HER2抗体薬物複合体であるトラスツズマブデルクステカンが承認されています。しかし、治療を続ける中で、当薬剤ががんに対して効かなくなる(耐性となる)ことが多くみられます。 本研究は、HER2陽性胃がんに対して、抗HER2抗体薬物複合体が耐性となる機序を明らかにすることで、耐性に打ち克つための基盤となるデータの集積ならびに新たな治療標的を抽出することを目的に実施しています。 従来のがんの遺伝子検査は、1~数種類の遺伝子異常のみを検査するものでしたが、2019年以降、数百種類のがんの遺伝子異常を一度に解析することができる、がん遺伝子パネル検査が保険で承認されています。本研究では、がんの特定の遺伝子の異常が、抗HER2薬物複合体の治療効果を左右するとの仮説をたてました。そこで、本研究では、国立がん研究センター がんゲノム情報管理センターと契約を締結し、国内で実施されたがん遺伝子パネル検査結果を解析する準備を行っています。2022年度初めには準備が整い解析が可能となる見込みです。 また、がんの中には多数の免疫細胞が浸潤していますが、本研究では、がんの中にできるリンパ節のような構造(三次リンパ装置)に注目しています。多重蛍光免疫染色や網羅的遺伝子解析技術を用いて、三次リンパ装置の構成細胞と抗HER2抗体薬物複合体の治療効果との相関関係を評価するために、実験の準備を行っています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国立がん研究センター がんゲノム情報管理センターとの契約手続きに時間を要し、2021年度はがん遺伝子パネル検査の解析を行うことができませんでした。しかし、当制度自体が2021年秋に開始されたものであり、また当院でも情報のセキュリティーや倫理審査といった必要なプロセスを一つずつ解決していく必要があり、ある程度時間を要したことはやむを得ないことと考えています。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はがん遺伝子パネル検査結果の解析を行います。得られた結果から、抗HER2抗体薬物複合体治療下での特定の遺伝子異常の機能的意義を評価する予定としています。また、がんの内部にできる三次リンパ装置に対する解析も併せて実施する予定です。
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Causes of Carryover |
本研究では、多重免疫染色のための抗体や関連する試薬費が高額になると予想している。2021年度では抗体購入をほとんど行わなかったため、2022年度に繰り越すこととした。
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