2021 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸癌に対する転写因子HOXD9を標的とした新規治療の開発
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21K20845
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菅原 正貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (80906686)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / HOXD9 / HPV |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、、転写因子HOXD9を標的とした子宮頸癌の新規治療を開発することであり、その手法として核酸医薬品、あるいは既存薬ライブラリーの検討を実施した。まず、HPV16型陽性子宮頸癌細胞株であるSiHa, SKG3a, SKG3bを用いて、siRNAによるHOXD9のノックアウトを行い、遺伝子発現に与える影響を調べた。その結果、いずれの細胞株においてもHOXD9 mRNAの発現抑制が確認されたが、レンチウイルスを用いたshRNAによるノックダウンを行った先行研究と比較すると、発現抑制の効果は限定的であり、細胞増殖の有意な抑制は確認できなかった。 一方で、臨床で他の疾患への使用実績があり、基礎研究においてはHOX遺伝子群の発現に影響されることが知られている既存薬Xを用いて、上記と同様の検討を行った。既存薬X処理により、いずれの細胞株においてもHOXD9 mRNAの発現レベルは濃度依存的に上昇したが、細胞増殖の顕著な抑制が確認された。また、HOXD9 mRNAとは反比例して、濃度依存的なHPV-E6/E7遺伝子のmRNA発現が顕著に低下しており、これは既存薬XがHOXD9の翻訳阻害やHPV初期プロモーターへの結合阻害に関与している可能性があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存薬ライブラリーの中から、転写因子HOXD9を抑制効果を持つ既存薬Xを選定し、有意な細胞増殖抑制と遺伝子発現抑制が示された。来年度に詳細な解析を行い、その作用機序を解明するを予定しており、順調に進められている。 一方で、siRNAでは十分な効果が得られなかったため、その原因究明と、その他の核酸医薬品を用いた代替法の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回使用した既存薬XがHOXD9に与えた影響について、qPCRやWestern blottingによる発現解析やChIP assayおよびEMSA法により、その作用機序(転写阻害、翻訳阻害、結合阻害など)の解明を目指す。また、担癌マウスや患者由来オルガノイドに対して、細胞株と同様の結果が得られるか検証する。 核酸医薬品ではsiRNAのほか、アンチセンス核酸も臨床での実績があるため、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたノックダウンについても検討する。
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