2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K20854
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
向井 智美 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学分野, 研究員 (10706146)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 悪性中皮腫 / NF2 / 合成致死 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫は予後不良の難治性希少がんで 5 年生存率は 10% 未満である。悪性中皮腫において明らかとなった高頻度の遺伝子変異の多くががん抑制遺伝子であるため、分子標的薬の開発が遅れている。近年様々ながんを対象に、CRISPR library を用いた合成致死遺伝子スクリーニングによる抗がん剤開発が進められているが、悪性中皮腫は希少がんであるため利用できるサンプルが少なく研究が遅れている。本研究室では、日本人悪性中皮腫患者より独自に樹立した細胞株を 30 株以上有している。本研究は、これらの細胞株を利用して、悪性中皮腫で高頻度に変異がみられる NF2 に着目し、この合成致死遺伝子を CRISPR library スクリーニングによって同定、さらに治療標的としての有用性を検証し、NF2 変異を有する悪性中皮腫患者に対する新規分子標的薬の開発を目指すものである。 本年度は、NF2の変異を有する悪性中皮腫細胞株4株および、それぞれにNF2を強制発現させたNF2発現細胞株、NF2をノックアウトした不死化中皮細胞株を準備し、Hippo経路の下流因子の発現量、細胞増殖能、ヌードマウスへの腫瘍形成能を解析することで、スクリーニングに適した細胞株を検討した。その結果、NF2変異を有するいずれの悪性中皮腫細胞株も、細胞増殖能はNF2に大きく依存していたが、Hippo 経路への影響は細胞間でばらつきが見られた。また、細胞株によっては、ヌードマウスに生着しないものもあった。これらの結果を踏まえ、スクリーニングに使用する細胞を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、NF2をノックアウトした不死化中皮細胞株(NF2 KO細胞)の使用を予定していたが、NF2 KOによって細胞増殖能に変化はみられず、ヌードマウスへの腫瘍形成能も獲得しなかった。そのため、使用する細胞種の選択から行うこととなり、当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
選択したNF2変異悪性中皮腫細胞株に、Cas9 を安定発現させた細胞株を樹立する。その後sgRNA library を感染させ、一定期間培養し、ネガティブスクリーニングにより NF2 の合成致死候補遺伝子を見出す。候補遺伝子が合成致死性を示すか否か、他のNF2変異細胞株を用いてさらに検証、治療標的としての妥当性等も考慮し、着目すべき合成致死遺伝子を決定する。さらに、細胞死に至るメカニズムの解析にも着手する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりもやや遅れているため、当該年度に予定していた受託解析等がもちこされた。次年度に受託解析等を行う予定である。
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