2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K20859
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石野 貴雅 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (90907792)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / 免疫チェックポイント阻害剤 / ネオ抗原 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍は免疫系からの逃避機構として抑制性の免疫チェックポイント分子を利用しており、抗PD-1/PD-L1抗体といった免疫チェックポイント阻害剤はT細胞を活性化することで効果を発揮する。そのため抗腫瘍免疫においては腫瘍と直接対峙している腫瘍浸潤T細胞が重要である。T細胞の活性化には体細胞変異に由来するネオ抗原が重要であり、これまでに体細胞変異の量的な評価で免疫チェックポイント奏功を予測する試みがなされてきたが、それだけでは不十分であり、ネオ抗原の質的評価が腫瘍微小環境に与える影響を明らかにする必要がある。 大腸癌88例のゲノム解析を行い、ネオ抗原を同定した。しかしながら、そのネオ抗原を有する大腸癌の免疫応答が低く、質的にT細胞活性を抑制していることが示唆された。実験的にもそのネオ抗原が逆説的にnon-inflamedな腫瘍微小環境をもたらすことを立証した。今後はTCGA等の公共データセットでも検証したうえで、従来とは異なる方法での質的な評価も加味したネオ抗原同定方法を目指し、ネオ抗原を質・量の両面から正確に評価し免疫チェックポイント阻害剤奏功に有用なバイオマーカーの構築を試みたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「Non-inflamedな腫瘍微小環境を誘導し得るネオ抗原」の存在を臨床検体から見出し、実験的に立証することが出来たことについては、今までに報告の無い大きな成果である。一方で、現状のネオ抗原の同定法では正確なネオ抗原の同定は困難なのが現状であり、シングルセル解析や質量分析を併用した新たな方法を立案している所である。
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Strategy for Future Research Activity |
TCGA等の公共データセットでも検証したうえで、従来とは異なる方法での質的な評価も加味したネオ抗原同定方法を目指す。さらに、シングルセル解析や質量分析を併用した方法での同定も試みる。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 申請の段階で既に仮説の立案に至る臨床検体のシーケンスを行っており、実験系に用いる物品を既存のもので効率的に進められていた。そして、更に正確なネオ抗原同定法を立案すべくシングルセルシーケンス・質量分析を提出しており、解析結果が待たれている所である。今後解析が出たところで実験系の構築のために多数のベクターやペプチド等試薬類を要するため、未使用額が生じた。 (次年度における使用計画) このため、シングルセルシーケンス・質量分析の解析を確認後、実験的検証を行うために必要なベクターやペプチド等の消耗品を購入する経費に充てる予定である。
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