2021 Fiscal Year Research-status Report
メタボリックシンドロームに対する乳歯歯髄幹細胞培養上清を用いた新規治療の開発
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21K20863
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 久哲 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80909127)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 耐糖能異常 / 脂肪肝 / 乳歯歯髄幹細胞 / 培養上清 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず脂肪肝・耐糖能異常マウスモデルに対するSHED-CM投与の有効性について検討した。C57BL/6J雄マウスに60kcal%高脂肪食を15週投与行うことで、耐糖能異常と肝への高度の脂肪沈着が確認された。13週から15週においてSHED-CMまたはcontrolを週1回投与し、その作用を検討した。経口グルコース負荷試験において、SHED-CM群でわずかな食後高血糖の改善作用が示唆されたが、有意差は認めなかった。また、血清ALT値はSHED-CM群でやや低下傾向を認めたものの、HE染色における肝臓の脂肪化面積において明らかな有意差は認められなかった。 次いでSHED-CMが肝細胞に及ぼす作用について、その増殖や代謝に与える変化について着目し、in vitroでの検討を行った。肝細胞の代替モデルとして一般的に使用されているHepG2を使用し、SHED-CMまたはcontrolの存在下に培養を行ない、ライブセルイメージングシステムにより細胞数カウントを行なった。SHED-CM存在下にHepG2を培養すると、controlに比べて増殖速度が増加することが分かった。HepG2を24時間SHED-CM存在下に培養したのち、Seahorse flux analyzerで解析を行なった。すると、SHED-CM処理によって、対照に比べてOCR(酸素消費速度)の増加が認められた。 以上より、in vitroにおいてSHED-CMのHepG2に対する増殖促進作用のほか、ミトコンドリア呼吸に対して作用を持つことが示唆される。一方で、今回のマウスモデルにおいての実験においては、SHED-CMの有効性は明らかではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、60kcal%高脂肪食により脂肪肝・耐糖能異常マウスモデルを作成し、それに対するSHED-CMの有効性の検討を行なったが、明瞭な差は見られなかった。今回のマウスモデルは著明な体重増加を認め、以前我々が使用したNASHモデルよりも強い耐糖能異常を認める一方、肝臓での炎症は軽度であった。このことが、従来と同様の投与量、投与回数ではSHED-CMの効果が不明瞭であった原因の一つと考えられる。また、in vitroでの検討においては、実験条件の検討にやや時間を要したものの、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度においては、まずはin vitroにおける肝細胞に対するSHED-CMが代謝におよぼす影響について、さらに検討を重ねる予定である。これまでに得られた結果の再現、確認を行うとともに、HepG2に脂肪酸(オレイン酸、パルミチン酸)を添加し、脂肪化を起こした上でSHED-CMを作用させる検討も計画している。有効な結果が示唆されれば、脂肪肝・耐糖能異常マウスモデルの作成方法、SHED-CMの投与量を再検討した上で、再度in vivo実験を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
必要時物品を購入していく過程で562,962円という残金が発生してしまい、不要な物品購入を行うよりも次年度に繰り越した方がよいと判断させていただいた。繰り越し残金は次年度に試薬、抗体などを購入して消化する予定である。
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