2022 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームに対する乳歯歯髄幹細胞培養上清を用いた新規治療の開発
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21K20863
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 久哲 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80909127)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | NASH / 乳歯歯髄幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、まずin vitroの検討として肝細胞の代替モデルとして一般的に使用されているHepG2を使用して追加の検討を行った。パルミチン酸をHepG2に添加した状態で、SHED-CMまたはコントロールとしてDMEMの存在下でアポトーシス細胞の数をライブセルイメージングシステムを用いて検討した。SHED-CMによりアポトーシス細胞が減少することを想定していたが、予想に反してむしろSHED-CMによりアポトーシス細胞は増加した。前年度の検討でHepG2がSHED-CM存在下に対照に比べてOCR(酸素消費速度)の増加が認めらていることを加味すると、SHED-CMにより脂肪酸の酸化が促進され、酸化ストレスが増加した可能性が考えられた。 次に、in vivoの検討として9週齢のC57BL/6Jマウスに、12週間ウエスタンダイエットおよび高濃度糖水を摂取させ、さらに四塩化炭素を週1回少量腹腔内投与することで作成したNASHマウスモデルに対して、SHED-CMまたはコントロールとしてDMEMを週1回尾静注した。SHED-CM投与は大滴性脂肪沈着を有意に減少させた。肝組織のRNA-seqにより網羅的な遺伝子解析を行うと、653の遺伝子がSHED-CMによって有意に発現上昇を認め、発現上昇を認めた遺伝子において、GO解析を行うと、脂肪酸や脂質、有機酸の代謝に関連した遺伝子群に有意な変化を認めた。脂質のβ酸化に関与するPPARαやCPT1αに関して、qPCRで検討を行うと、いずれもSHED-CMで発現上昇を認めた。 以上よりSHED-CMは、β酸化を促進することで脂肪分解を促進し、NASHの改善に寄与する可能性があると考えられた。
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