2021 Fiscal Year Research-status Report
多系統萎縮症における広汎なギャップ結合の破綻と脱髄機序の解明
Project/Area Number |
21K20873
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林田 翔太郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60907385)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 多系統萎縮症 / コネキシン / ギャップ結合 / シヌクレイン / オリゴデンドロサイト / ミクログリア / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
多系統萎縮症における脱髄の発症機序を解明するため、グリア細胞間でギャップ結合を形成するチャネル蛋白であるコネキシン蛋白群に着目して発現解析を施行した。15例の病理学的に確定した多系統萎縮症患者剖検例を対象に、リン酸化αシヌクレインの蓄積がみとめられた小脳白質や橋底部におけるアストロサイトのCx43とCx30、オリゴデンドロサイトのCx32とCx47をそれぞれ免疫染色し、その他のグリア細胞マーカーとしてGFAP、AQP4、MAG、MOG、TPPP、CD68、neurofascin、OSP/claudin-11を使用し、発現パターンを比較検討した。脱髄の程度によってStage I(早期)、Stage II(中期)、Stage III(末期)に病変を分類した。早期病変であるstage Iでは、Cx32の発現がオリゴデンドロサイトの細胞膜やミエリン鞘から消失し、リン酸化αシヌクレインとともに細胞質内に凝集することを見出した。アストロサイトのCx43はstage Iでのみ発現低下し、stage IIやstage IIIではアストログリオーシスを反映して発現亢進がみとめられた。さらに、近年、ミクログリアとマクロファージを特異的マーカーにより免疫染色で区別できるようになっており、TMEM119やP2RY12、GLUT5はミクログリアに特異的に発現し、CD40やCD68、CD163はマクロファージ優位に発現する。これらを利用し、リン酸化αシヌクレイン陽性GCI蓄積が顕著な病変におけるミクログリア・マクロファージの浸潤パターンを詳細に検討し、活性化したミクログリア・マクロファージが異なる時期に活性化しており、それぞれ脱髄に寄与していることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コネキシンに関する論文はNishimura Y, et alの共著者として投稿準備作業に携わっている。ミクログリア・マクロファージの発現パターンに関する論文は別途投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
コネキシンを標的とした治療をINI-0602やGAP17を用いて具体的にin vivoでの投与実験を進めている最中である。ミクログリア・マクロファージを標的とした治療として、CSF1R阻害薬を用いた投与実験はすでに完遂しており、現在投稿準備中である。
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Causes of Carryover |
以前から当科で使用していた一次抗体や消耗品である程度病理学的実験を賄うことができたため、2022年度に改めて一次抗体などを複数購入予定としている。
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Research Products
(1 results)