2021 Fiscal Year Research-status Report
神経幹細胞のミトコンドリア脂質膜代謝に着目した脳回形成制御機構の解明
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21K20876
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中村 勇治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (60788024)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | PNPLA8 / 脳オルガノイド / ミトコンドリア / 脂質代謝 / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
PNPLA8はミトコンドリアホスホリパーゼをコードし、ミトコンドリア膜脂質のリモデリングに重要な役割を担っている。現在までに報告されているPNPLA8ノックアウトマウスは神経発達の表現型が明らかでない一方で、PNPLA8欠損ヒト患者は小頭症と脳回形成不全を示す。そのため我々はPNPLA8がヒト脳発生において重要な役割を有すると考え、研究を進めている。正常ヒト由来iPS細胞を用いてCRISPR/Cas9で遺伝子編集を行い、それらの細胞株を用いてPNPLA8ノックアウト脳オルガノイドモデルを作製した。表現型を調べた結果、PNPLA8の機能喪失はPAX6, HOPX陽性の外側放射状グリア(bRG)とSATB2陽性上層ニューロンの量を特異的に減少させることが分かった。さらに、細胞周期を調べた結果、PNPLA8機能喪失神経幹細胞は自己再生分裂ではなく、神経発生的な分裂を行う傾向があることが示唆された。神経幹細胞の運命決定因子がどのように変化しているか調べるため、iPS細胞由来神経幹細胞を作製した結果、PNPLA8機能喪失下ではミトコンドリアが過融合で肥大化していることが分かった。ミトコンドリアと幹細胞の運命決定には多くの関連性があることから、PNPLA8の機能喪失はミトコンドリアの形態と機能異常を引き起こし、その結果、神経幹細胞の運命決定を変化させ、大脳皮質拡張と脳回形成に重要な役割を持つbRGとそれに由来するニューロンの産生を減少させる可能性が示唆された。すなわち、PNPLA8によるミトコンドリアの脂質リモデリングは、進化的な大脳皮質拡張と脳回形成が起こる際に重要な制御因子となっている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルを用いた表現型解析から新たな知見が得られ、疾患の分子病態が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
PNPLA8がミトコンドリア膜脂質に及ぼす影響を調べるため、iPS由来神経幹細胞を用いてリピドミクスを行う。また、神経幹細胞における代謝の変化や運命決定に関わる因子の変化を調べるため、空間トランスクリプトームで遺伝子発現を調べる。
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Causes of Carryover |
物品予算は概ね予定通りに使用したが、コロナ禍で学会出張が予定よりも少ないことなどが影響したと考えている。今年度は複数の出張や物品購入に充てることを計画している。
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Research Products
(1 results)