2021 Fiscal Year Research-status Report
オキシリピンが早産児における慢性肺疾患に与える影響
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21K20880
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
菅沼 広樹 順天堂大学, 医学部, 助教 (60568004)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | オキシリピン / 早産児 / 脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
早産児にとって脂質は重要なエネルギー源としてだけでなく、成長や発達に不可欠な栄養素の一つであるが、脂肪酸から産生されるオキシリピンが早産児にどのような影響を与えるのかは未だ不明である。申請者らは、オキシリピンに着目し、早産児における慢性肺疾患との関係を明らかにする。申請者らは32種類のオキシリピンを在胎30週以下で出生した早産児の血液を用いて経時的に測定した。リノール酸から産生される血中オキシリピンは13-HODEが最も多く、生後1週間からは低下傾向であった。また、アラキドン酸から産生される血中オキシリピンは12-HETEが最も高値であった。ドコサヘキサエン酸から産生される血中オキシリピンは4-HDHAが最も多く、生後日数とともに減少を認めた。 早産児のおける血中オキシリピンの変化は、早産児が摂取する栄養の影響を強く受けていることが判明した。特に、生後数日の急性期では脂肪乳剤の影響が強く、リノール酸からの炎症惹起作用を有するオキシリピンが増加していた。また、慢性期では経腸栄養からの栄養が、ドコサヘキサエン酸からの抗炎症作用を有するオキシリピンに影響していた。この炎症惹起作用と抗炎症作用のオキシリピンのバランスが早産児に何らかの影響を与えている可能性がある。 現在、申請者らが測定可能なオキシリピンは32種類であるが、より詳細な病態の把握のためにαリノレイン酸やドコサヘキサエン酸からのオキシリピンの測定項目を増やしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は臨床研究であり、該当症例の登録は早産児の入院数に影響を受ける。そのため、対象症例を集めることに時間を必要とする。 また、試薬等の実験に必要な薬品や備品がCOVID-19の影響で搬入に時間を要するため、予定より検査の日程が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性肺疾患モデルラットを作成して、肺組織内のオキシリピンを経時的に検討する。 測定できるオキシリピンの種類を増やして、より詳細に病態を把握できるようにする。
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