2022 Fiscal Year Annual Research Report
長寿遺伝子Sirt1の筋骨格系制御メカニズムとその加齢変化・性差の解明
Project/Area Number |
21K20892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細井 達矢 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70907831)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | サルコペニア / 長寿遺伝子 / Sirt1 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアは主に速筋繊維が影響を受け, 骨格筋内の速筋/遅筋割合が変化すること, 筋量低下に先行して筋力低下を認めることなどを特徴とし, 廃用や加齢に伴う筋委縮とは異なる新しい疾患概念である. 長寿遺伝子であるSirt1は, 全ての細胞で発現しているエンザイムであり, 骨格筋でもミトコンドリア容量や機能の維持に関与する. しかしその詳細なメカニズムやサルコペニアとの関連は未解明であり, 本課題では長寿遺伝子Sirt1の速筋特異的作用に着目したサルコペニアの制御メカニズム解明を目的とした. 具体的な手法としては, MCL1f-CreマウスとSirt1 flox/floxマウスを用い, Cre-LoxPシステムにより速筋特異的(fm)Sirt1KOマウスを作成した. KOマウスとfloxマウス(対照群)を比較し,若齢および加齢に伴う体重や骨格筋量, および筋機能・代謝性変化を解析した. 研究期間を通し, 新規マウスモデルの創出及び雌雄の安定的な飼育に成功した. またKOマウスでは筋特異的にSirt1機能が欠損していたが, 心筋での発現には影響を与えないことも確認されている. 若年期において体重・骨格筋量, 筋力・持久力, 遺伝子発現を比較検討した結果, KOマウスと対照群では体重・各種骨格筋重量で有意差を認めず, これらは加齢によっても変わらなかった. 持久力についても若年期では有意差を認めなかった一方, 加齢に伴って持久力の差を認めるようになった. また加齢に伴い暗期の酸素消費量変化を認めたこともあり, 筋での代謝性変化が示唆された. 骨格筋分化に関与するMyoDなどの遺伝子発現変化も確認され, Sirt1が筋代謝に与える影響について, 今後更に深耕すべき部分が明らかとなった.
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