2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K20893
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東原 崇明 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (50912276)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / サルコペニア / 尿毒素 / 筋再生 / 筋細胞融合 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は主に、腎不全環境或いは腎不全環境で蓄積する尿毒素が骨格筋再生・分化過程に及ぼす影響と治療的介入法を探索した。まず、アデニン食誘導腎不全マウスと健常マウスの前脛骨筋に、塩化バリウムを注入することで筋傷害を誘導し、筋再生能を比較した。腎不全マウスでは、筋傷害側の筋重量の減少、再生過程の筋線維断面積の減少を認め、筋再生能低下が示唆された。続いて、代表的な尿毒素インドキシル硫酸(indoxyl sulfate, IS)に着目し、マウス筋芽細胞(C2C12)の分化過程でISを添加すると、筋管細胞サイズの減少を認めた。筋再生・分化過程においては個々の筋芽細胞が融合する「筋芽細胞融合」が重要な役割を担うことから、蛍光免疫染色を用いて筋管細胞内の核数(融合した筋芽細胞数)を評価すると、ISを添加した群では有意に核数減少を認め、細胞融合の抑制が示唆された。続いて、ISは活性酸素種(ROS)の蓄積により臓器障害をきたすことが知られていることから、抗酸化剤アスコルビン酸に着目し、筋再生や筋細胞融合の抑制に拮抗可能かを解析した。アデニン誘導腎不全マウス、及びISを添加した筋芽細胞に対してアスコルビン酸を投与すると、筋傷害側の筋重量低下が有意に改善し、また筋管細胞数の減少が有意に改善した。分子機序探索のためRNAシーケンスを施行すると、IS及びアスコルビン酸添加の有無では筋再生に関与する分子が有意に変動し、筋芽細胞融合に重要な既知の膜蛋白質Xを同定した。膜蛋白質Xは先の腎不全モデルマウス、筋芽細胞に対するIS添加で発現が低下し、アスコルビン酸投与で改善する事。またsiRNAでノックダウンすると筋芽細胞融合が抑制されることがわかった。上記研究成果について論文投稿すると共に、海外留学に伴う研究中断後は、その知見を活かして有酸素運動が腎臓に与える保護的な影響についての解析を進める予定である。
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