2021 Fiscal Year Research-status Report
Protective effect of vagus nerve stimulation on chronic kidney disease
Project/Area Number |
21K20894
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 真司 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (80913699)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 迷走神経刺激 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、従来の方法では困難であった非侵襲的・反復的な末梢神経の刺激を、オプトジェネティクス(ChR2)とアップコンバージョンナノ粒子(NaYF4:Yb/Tm)を組み合わせることにより達成し、その方法を用いて慢性腎臓病における迷走神経刺激の有効性を検証することである。その第一歩として、ChR2を発現した迷走神経にアップコンバージョンナノ粒子を局所投与し、その後近赤外光レーザーを迷走神経に直接照射した際に、アップコンバージョンナノ粒子から局所的に放出される青色光がChR2発現線維を興奮させるか、を検証した。具体的には、Chat-ChR2マウス・Vglut2-ChR2マウス(それぞれ迷走神経遠心性・求心性線維にChR2が発現)のChR2発現迷走神経が上記手法で興奮するかを観察した。結果としては、Chat-ChR2マウスにおいては呼吸数には変化を認めず心拍数低下のみが観察され、Vglut2-ChR2マウスにおいては呼吸数が低下した(迷走神経求心性線維を刺激すると呼吸数が低下することが知られている(Hering-Breuer反射))。一方ChR2を発現しないコントロールマウスやアップコンバージョンを起こさないコントロール粒子を用いると、近赤外光照射は心拍数・呼吸数を変化させなかった。これらは、観察された心拍数や呼吸数の低下が非特異的反応ではなく、ナノ粒子が局所で発する青色光をChR2が受容して神経を興奮させていることを示唆しており、本研究計画の実行可能性を支持する非常に重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Proof of conceptとして非常に重要な結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは刺激条件の最適化を行う。これまでの実験では近赤外光のファイバーを露出した迷走神経の直上に置いたが、本実験では神経とファイバーの間に皮膚やその他の組織が存在するので、ファイバーの位置・角度及び光の強度を最適化する必要がある。迷走神経刺激は心拍数・呼吸数を低下させるので、最適化の目安として低下幅が10%以下になる条件を探す(過度の心拍数・呼吸数低下は慢性腎臓病進行に影響を与えうるため)。5 Hz/10分という迷走神経刺激の条件で急性腎障害が抑制されたので(Tanaka, et al. 2021 PNAS)、これらの条件は固定する。条件最適化後、慢性腎臓病モデルマウスに迷走神経刺激を連日施行する。慢性腎臓病誘導のため、片側腎虚血再灌流または葉酸投与を行い、Day 3に手術で左頚部迷走神経にアップコンバージョンナノ粒子を局所投与し閉創する。Day 4-13に連日、麻酔下で左頚部迷走神経に体外から近赤外光レーザーを照射し、青色光を迷走神経局所で発生させ、ChR2発現線維を刺激する。Day 14に腎臓・血液を採取し、迷走神経遠心性・求心性線維刺激の腎線維化(慢性腎臓病進展)への効果を調べる。保護効果が得られれば、脾摘やβ2ブロッカー投与で保護効果が消失するか(急性腎障害に対する保護効果と同一メカニズムか)検討し、さらに腎臓・脾臓の免疫細胞のphenotypeをフローサイトメトリーで調べる計画である。
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