2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms for the microbial regulation of nutrient transporters in the small intestine
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21K20896
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 善之 富山大学, 附属病院, 医員 (30912331)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 栄養トランスポーター / 肥満 / インスリン抵抗性 / 腸管バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
高脂肪食誘導肥満マウスにおいてポリフェノールXを投与すると抗肥満作用を示し、経口ブドウ糖負荷試験、インスリン負荷試験では耐糖能が改善していた。組織ごとに解析を行うと肝臓では脂肪肝が改善しており精巣上体脂肪では慢性炎症が改善していることが核にできた。ポリフェノールXによるこれらの代謝改善作用は抗生剤使用下では認めくなり、反対に無菌マウスに対してポリフェノールXを投与したドナーマウスの便を移植した場合に耐糖能が改善した。すなわちポリフェノールXは腸内細菌叢依存的に抗肥満作用を示すことが分かった。16SrRNAシークエンスによる腸内細菌の解析を行うと、ポリフェノールXの投与マウスでは腸管バリア機能および代謝改善に重要な菌であるAkkermansia muciniphilaが顕著に増加していることが確認できた。Akkermaniaの増加に伴い、ポリフェノールX投与マウスでは腸管ムチン層の増加、便中ムチン排泄の増加、tight-junctionに重要である蛋白Claudin 1の発現増加が確認でき、肝臓でのエンドトキシンマーカーも改善していることから腸管バリア機能が改善していた。 またポリフェノールX投与時には便中の脂質排泄が増加していた。ポリフェノールXおよびその腸内細菌代謝産物はin vitroで膵リパーゼの活性を阻害していた。また小腸において、ポリフェノールXは脂質吸収トランスポーターCD36, FABP1, FATP4の発現を減弱させた。これらの結果からポリフェノールXは腸管内での脂質分解の阻害と、小腸での脂質吸収の抑制により便中への脂質排泄を促進して抗肥満作用を呈することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画のうち現在までにポリフェノールX投与によって構成される腸内細菌叢およびその菌叢を無菌マウスに対して移植した場合の表現型についての解析は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な栄養組成を変えた食事を投与したマウス由来の腸内細菌叢を無菌マウスに移植することによる脂肪酸、糖、タンパク質の腸管内栄養トランスポーターに与える影響を解析する。またその効果が生菌によるものなのか菌体成分によるものかの検討を行う。
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Causes of Carryover |
無菌マウスの繁殖過程で食殺により予定していた実験用マウスが確保できず、次年度に実験を行う必要があり次年度使用額が生じた
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