2023 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺オルガノイドを用いたヨード輸送機構の全容解明と新たな治療戦略の確立
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21K20907
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 敦詞 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00750580)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Keywords | 甲状腺 / SLC26A7遺伝子 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性甲状腺機能低下症の病態解明を目的として、甲状腺オルガノイドを用いた機能解析系の確立とその治療応用に対する研究課題であるが、甲状腺オルガノイドについては免疫染色でPax8、Tgといった遺伝子の発現を認め、甲状腺濾胞細胞と類似したキャラクタリゼーションを確認できている。ZO1による免疫染色で極性の評価を実施したところ、甲状腺オルガノイドにおける内腔がいわゆる甲状腺濾胞細胞の濾胞側に相当することを確認し、解剖学的にも生体内における甲状腺の特性を十分保有しているモデルを確立しており、生体内に近い条件での評価に大きく貢献するものと考えている。 また、Slc26a7ノックアウト(KO)マウスからも同様の手法で甲状腺オルガノイドを作成することができた。先天性甲状腺機能低下症のモデルマウスから甲状腺オルガノイド作成をした報告は本研究が初めてであり、甲状腺疾患の病態解明に結びつく重要なステップと考える。しかしながら、甲状腺オルガノイドをマウスの腎皮膜下に野生型マウスから作成した甲状腺オルガノイドを移植し、マウスの甲状腺機能の変化、腎皮膜下での甲状腺オルガノイドの組織学的な機能評価を試みたが、十分な評価はできていない。マウス甲状腺から甲状腺オルガノイドを作成し、レンチウイルスベクターを用いてVenusを発現させたところ問題なく遺伝子導入が可能であることが確認済である。また、甲状腺ホルモンの測定系を、同時に大量の検体の解析を可能とし、かつ少量のサンプルで解析可能なコストパフォーマンスのよい手法に切り替えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
in vitroでオルガノイドの機能評価を行うにあたっては、甲状腺組織と類似した成熟した濾胞構造を再現する必要性があるが、遺伝子発現については概ね甲状腺組織と類似した発現を示しているものの、機能的な評価として、甲状腺ホルモンの産生は依然として確認できていない。また前年と同様に、レンチウイルスによるオルガノイドへの遺伝子導入について、Venusの導入は問題なく可能である一方で、まだSlc26a7といった目的の遺伝子導入効率が十分ではないことで、その後の実験計画にも影響を及ぼしている。
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Strategy for Future Research Activity |
オルガノイドが機能的な役割を果たしていることを確認するために甲状腺ホルモンの産生の程度を検証する必要があり、今後、新たな検査系を用いた甲状腺ホルモン産生の評価を実施していく。現在、遺伝子導入のために使用しているレンチウイルスベクターについては、ウイルス濃度を上昇させるような仕組みを構築していく。
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Causes of Carryover |
研究全体の進行の遅れが見られていることが影響している。 前年同様、マウスの飼育、系統維持、甲状腺オルガノイドの作成の試薬あるいは甲状腺オルガノイドを用いたRNAseqといった遺伝学的な解析に対して使用を計画している。
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