2021 Fiscal Year Research-status Report
脂肪肝の細胞ストレス応答に関与するTCA回路中間体の解析と治療応用に向けた研究
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21K20915
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐野 晃俊 東北大学, 大学病院, 医員 (20906060)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / NAFLD / クエン酸回路 / フマル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肥満人口の増加とともに世界的に急増している慢性肝疾患である。肝硬変・肝がんの原因となりうるため対策が必要であるが、現時点では食事・運動療法による減量が治療のメインであり、有効な薬物療法は確立されていない。我々の先行研究では、脂肪肝において門脈血中のL-methionine、L-tyrosineの低下がTCA回路の中間体であるフマル酸代謝を介して酸化ストレス応答(keap1-Nrf2 system)に関与し、NAFLDの病態進行に関与している可能性が示された。本研究は、NAFLDにおけるフマル酸を中心としたTCA回路中間体に着目し病態との関連を検討することを目的としている。 当該年度は主に動物実験を進め、C57BL/6マウスにFFC dietおよびフマル酸前駆物質であるフマル酸ジメチル(DMF)100mg/kg/dayを20週間投与し、肝病理像・血清学的所見を評価した。結果、DMFはsteatosisには影響しなかったが、inflammationやNAS scoreの改善といったNAFLDの病理像改善効果を認めている。ただし、まだN数が不十分であり有意差にまでは至っていない。 ここまでの検討からDMF投与による肝内の炎症や線維化抑制効果があることが示唆され、今後動物実験のN数を増やし検討する他、細胞実験においてもDMF等の抗炎症効果について検討していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状は概ね予定通りに研究が進んでおり、引き続き検討を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は動物実験のN数を増やし有意な肝病理像改善効果が見られるかどうか検討していく。 さらに細胞実験も進め、フマル酸前駆物質のジメチルフマル酸(DMF)やモノメチルフマル酸(MMF)による酸化ストレス改善効果や、Keap-1/Nrf2との関連についても検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
寄付金等の施設内の他の財源を優先的に使用したこともあり、想定よりも科研費の使用が少なく抑えられた。しかし一方で、ROSの解析等に想定以上に試薬費がかかることが分かり、翌年度分の助成費と併せて使用してく予定である。
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