2022 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝の細胞ストレス応答に関与するTCA回路中間体の解析と治療応用に向けた研究
Project/Area Number |
21K20915
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐野 晃俊 東北大学, 大学病院, 医員 (20906060)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | Nrf2 / クエン酸回路 / フマル酸 / 肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の検討では高脂肪食(FFC diet)に加えFumarateの前駆体であるジメチルフマル酸を投与した群は、体重増加が抑制された。しかし検討を進めると、長期に飼育することで一部のマウスに肝線維化所見、または肝内結節を認めた。体重減少効果もジメチルフマル酸の毒性に起因する可能性があり、それ以上の検討は断念した。 慢性肝疾患において近年は骨格筋の減少(サルコペニア)が予後に強く影響すると報告されているが、治療法は確立されていない。骨格筋は酸化ストレスにさらされやすく、ROSの蓄積は骨格筋維持に影響する。一方で、慢性肝疾患で増加する血中のアンモニアは、筋肉で代謝される際に一部のTCA回路中間体を消費する。そこで、慢性肝疾患における筋組織において、高アンモニア血症がTCA回路中間体を介して酸化ストレス応答に影響するのではないかと仮説を立て検討した。 通常の細胞培養液にはL-グルタミンが多量に含まれるため通常培養のみでもアンモニアが多量に産生されることがわかり、アンモニア添加実験には不向きであることが分かった。そこで、慢性肝疾患のアミノ酸組成に一致させた培地を新規に作成し、L-グルタミンはGlutamax(R)で置換することにより、アンモニア添加によって適切に濃度勾配をつけられる培養系を確立した。アンモニア0.25mM添加下の筋管細胞では、MYH蛋白の発現が低下し、またH2O2感受性が亢進しROSの蓄積が亢進する一方で、核内のNrf2発現は抑制されていた。アンモニア添加下ではαKG,Fumarateの低下を認め、これらのTCA回路中間体が慢性肝疾患における筋組織での酸化ストレス感受性亢進に関与する可能性が示唆された。 臨床検討では、複数の栄養素(BCAA・Zn・脂肪酸)が慢性肝疾患のサルコペニアに関連することを明らかにし、報告した。
|