2021 Fiscal Year Research-status Report
新規腎近位尿細管細胞マーカーACSM2の機能解明と臨床的有用性の検討
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21K20917
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 博文 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20911978)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 腎臓 / 近位尿細管 |
Outline of Annual Research Achievements |
近位尿細管細胞は腎臓の細胞の半数以上を占め、糸球体から濾過された原尿の大部分を再吸収し物質輸送を行うことで体液調節を行う、腎臓機能の重要な要素となっている。申請者らはACSM2(Acyl-coenzyme A synthetase medium chain family member 2)が近位尿細管細胞に特異的に発現していることを発見し、腎機能低下に伴い同遺伝子の発現が低下することを報告した。 本研究では現時点で不明なACSM2の機能の解明を目指すとともに、ACSM2が腎臓病診療に有効なマーカーとなり得るかを検討する。 ACSM2の機能解明のため、Acsm2遺伝子ノックアウトマウスを用いた基礎実験を行っている。所属研究機関において、Acsm2遺伝子ノックアウトマウスの繁殖を行い、予備実験を進めている。Acsm2遺伝子ノックアウトマウスの発生や腎臓の発達はコントロールマウスと差がないことを確認できた。また、今回のマウスにおいて、安定して遺伝子発現などの解析実験が行えることを確認した。今後Acsm2遺伝子ノックアウトマウスに各種の腎障害を生じさせ、ACSM2がどのような機能を持ち、どのように腎機能と関連しているかを明らかにしていく予定である。 ACSM2の近位尿細管細胞マーカーとしての臨床的有用性を明らかにするため、ヒトの臨床検体を用いた解析を進めている。腎生検標本を用いたACSM2発現の解析と並行して、現在もさまざまな腎疾患の臨床検体の収集を続けており、腎臓の各種の病態とACSM2発現などとの関連を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属機関における新たなマウス系統の立ち上げ、臨床検体を用いた実験系の確立などが順調に行えた。次年度に研究成果が得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
Acsm2ノックアウトマウスを使用し、腎障害モデル等を用いて、ACSM2がどのような機能を持ち、どのように腎機能と関連しているかを明らかにしていく予定である。 ACSM2の臨床的有用性の検討に関しては、現在、臨床検体を用いた解析を進めており、今後さらに、症例数を増やした解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ある程度まとまったサンプル数を使用して一度に解析しているため、2021年度において未使用額が生じたが、2022年度に解析を行う予定でありその経費に充てる。
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Research Products
(2 results)