2021 Fiscal Year Research-status Report
Bcl2-L-13の心臓におけるマイトファジー制御機構の解明と創薬への応用
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21K20923
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村川 智一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50902194)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | マイトファジー / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
下記のようにBcl2-L-13ノックアウトマウスの繁殖が上手くいかず、心筋梗塞モデル及び単離線維芽細胞を用いた実験を行うことができなかった。そのため、ノックアウトマウスの解析を終えた後に分子メカニズム解析を行うために予定していたin vitroの系を先に確立することとした。in vivoでの虚血・再灌流をミミックする刺激としてhypoxia-reoxygenationを使用することとした。まず、ラット心臓横紋筋由来のH9C2細胞及びラット新生仔単離心筋細胞(NRCM)を用いてhypoxia-reoxygenationにてマイトファジーが誘導されるかを検討した。マイトファジーは蛍光免疫染色にてミトコンドリアマーカーとしてATP-synthaseを、オートファゴソームマーカーとしてLC3Bを染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。両者が共局在するものをマイトファジーとして1細胞当たりの数を数えることで評価した。H9C2細胞、NRCMのいずれにおいてもhypoxia-reoxygenationによりマイトファジーが誘導された。次にこのマイトファジーへのBcl2-L-13の関与を検討するために、Bcl2-L-13に対するshRNAを産生するアデノウイルスベクターを作成した。3種類の配列に対してshRNAを作成し、いずれにおいてもH9C2及びNRCMで80%程度のノックダウン効率を得た。Bcl2-L-13をノックダウンしたNRCMでは、対照群として用いたshLacZに対してhypoxia-reoxygenationにより誘導されるマイトファジーが有意に減少していた。以上よりBcl2-L-13はhypoxia-reoxygenationにより誘導されるマイトファジーにおいて重要な役割を持つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大阪大学で新たに動物実験を開始するために、使用予定であったBcl2-L-1ノックアウトマウスを凍結胚より導入した。凍結胚移植によりオス1匹とメス1匹のノックアウトマウスを得たが、交配して3カ月待つも仔の出産に至らなかった。その後、オス、メスそれぞれを野生型マウスと交配したが、やはり仔を得ることはできなかった。このため、再度提供元であるKing’s College Londonで凍結胚の作製を行った後、輸送手続きを開始した。現在再導入に向けて準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、Bcl2-L-13ノックアウトマウスを用いた実験を開始できるように、動物の再導入・コロニーの確立を急ぐ。その間に今年度で確立したhypoxia-reoxygenationによるマイトファジー誘導系を用いて、hypoxia-reoxygenation におけるBcl2-L-13誘導性マイトファジーの分子機構を検討する。 マウスのコロニーが確立されれば、当初の計画通り心筋梗塞モデルを作成し、基本的な表現型データを得るため、心エコー図やカテーテル検査による心機能、臓器重量、心臓における遺伝子・蛋白質発現、組織学的評価を行う。また、心臓におけるミトコンドリアの形態や機能を評価するため、蛍光顕微鏡や電子顕微鏡を用いた組織学的検討、および生化学的検討を行う。さらに、レポーター蛍光タンパクを発現するマウスまたはAAVを用いてマイトファジーを評価する。同時に、Bcl2-L-13ノックアウトマウスから胎児線維芽細胞を単離し、ミトコンドリア形態及び機能を評価する。また、脱共役剤であるCCCP誘導性マイトファジー及びミトコンドリア分裂の評価を行う。
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