2022 Fiscal Year Annual Research Report
尿中修飾ヌクレオシドの網羅的解析による新規腎疾患診断法の開発
Project/Area Number |
21K20925
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
永芳 友 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (60908028)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 修飾ヌクレオシド / 尿中バイオマーカー / 腎疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度において、一般的に糖尿病の表現型を示すdb/dbマウスの尿中修飾ヌクレオシド解析を行なった。その結果、野生型マウスと比較し複数の修飾ヌ クレオシドが尿中に有意に多く排泄されていた。またこれらマウスに対し、一般的に腎保護作用があることで知られているアンジオテンシンII受容体拮抗薬を投 与した。その結果或る2種類の修飾ヌクレオシドで尿中排泄が変化することを見出した。 今年度はさらに、シスプラチン腎症モデルマウスを作成し、尿中修飾ヌクレオシド解析を行った。その結果、昨年実施したdb/dbマウスと共通して変化するヌクレオシドと、シスプラチン腎症モデルマウスのみで上昇するヌクレオシドが明らかとなった。この結果は、腎障害の病態がどこに起因しているか(糸球体障害または尿細管障害)に影響を受けていると考えられた。 次にこれまでに収集してきた慢性腎不全患者、約230名分の臨床検体における尿中修飾ヌクレオシドの解析を行った。その結果、db/dbマウスおよびシスプラチン腎症モデルマウスの尿中で共通して上昇していた複数の修飾ヌクレオシドが、腎機能と相関し、排泄変化していることを明らかにした。加えて、血中の修飾ヌクレオシドに関しては尿中修飾ヌクレオシドと逆相関していることも明らかになった。このことから腎障害に伴い、血中に修飾ヌクレオシドが蓄積すると考えられる。また修飾ヌクレオシドに今後はこれらの修飾ヌクレオシドのバイオマーカーとしての有用性を検証し、特許取得および国際科学雑誌での発表を予定している。
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